ハニー族の伝統芸能


ベトナム北西部に居住しているハニー族の人口はわずか2万人強で、小さな少数民族ですが、踊りや民謡、楽器など豊かな伝統芸能で有名です。これらの芸能はこの民族のアイデンティティーを表すもので、彼らの精神生活にとって欠かせない存在です。

高い山々に住んでいるハニー族は、他民族からの文化的影響は少ないです。ですから、この民族の伝統芸能は他の民族と違って独特性が高いのです。文字を持たない民族のためか、その伝統芸能こそは民族の伝統の保存に役立っていると言われています。ライチャウ省ムォンテ県に住むハニー族のリー・モー・チュさんは次のように語りました。
(テープ)

「ハニー族の民謡や踊りはとても大切にされています。北方から来たハニー族は元々住んでいたところに多くの形ある物を残しましたが、その民謡や踊りは行った先々で代々伝えています。民謡や踊りは私たちの文字のように、民族の歴史や文化を物語る語部です。民謡や踊りの保存により、ハニー族は今もなお民族の独特性を保っています。」

ハニー族の伝統芸能 - ảnh 1
機織の踊り

ハニー族の伝統芸能について触れるならば、歌垣を抜きに語ることはできません。歌垣は男女の付き合いの始まりであり、ハニー族は誰もが歌えます。

(歌垣の声)

お聞きいただいているのはハニー族の歌垣の一つです。歌垣の時、様々な楽器がよく使われます。ハニー族の楽器は管楽器、弦楽器、打楽器といった3種類があります。その中で、管楽器は歌垣の時によく使われています。代表的なものは「チパポ」という単に葉っぱを二つに折って唇の間に挟んで吹く物です。しかし、「チパポ」は鳥の鳴き声のようで、軽快な音を出す楽器です。その他、「ラティ」や「アムバ」などの弦楽器も使われます。ベトナム民族学博物館の研究者レー・シー・トさんは次のように話しました。
(テープ)

「結婚相手を探す時、ハニー族の男女たちは話し合いが好きでそこから始まります。歌垣はその話し合いのためのいい環境を作ります。ハニー族の男性は女性の家事を見て結婚相手を探します。例えば、女性の家族の薪をよく見て判断します。もし、薪が多ければ、その女性は真面目で勤勉な人であるという判断です。男性は歌垣などでその女性とイチャイチャしたがります。」

ハニー族の伝統芸能 - ảnh 2
月様の踊り

チパポは祭りや葬式、結婚式などでも使われます。一方、打楽器は元気なメロディーを出せるので、祭りなどでよく使われます。

ハニー族は、子守歌、お酒の誘い、もてなしの歌、新築の祝い、収穫の祝いなど民謡がたくさんあります。この民族の民謡は踊りと一緒によく歌われます。踊りの中にはこの民族の生活や風習などが潜んでいると言われています。ベトナム民族学博物館の研究者レー・ヴァン・ティエットさんは次のように語りました。
(テープ)

「ハニー族の踊りは、風習や習慣を表すものが多いです。例えば、機織りの踊りがあります。それは、機織りの動作を再現する踊りです。その他、サマンという踊りは祈祷師の儀式で披露されるもので、ハニー族の精神生活を物語ります。」

こうしたハニー族の伝統芸能はこれからも、この民族のアイデンティティーを守ってゆくことでしょう。

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