ベトナム北西部に居住している少数民族ハニー族は男女の恋愛について開放的な考え方を持っています。男女は自由に付き合って自由に結婚できるのです。結婚も簡単です。男性は女性の家へ雄鶏を一羽持っていくだけで、女性と結婚できるほどです。男女の恋愛と結婚に関するハニー族の考え方は、男女が掛け布団をかぶる風習に表されています。
ハニー族の女性たち
(歌垣の声)
お聞きいただいているのは、ハニー族の男女による歌垣です。男女たちは歌垣を通じて結婚相手を探す風習があります。歌垣の時、そのカップルは掛け布団をかぶって、その中で、歌垣をします。掛け布団は歌垣の時だけでなく、男性が女性の家へ遊びに行く時にも使われます。男性は女性の家の前に着いたとき、掛け布団を頭から膝までかぶって家の中に入ります。それは、女性のことを探りたいというメッセージです。ラオカイ省バッサト県に住むハニー族のリー・モー・サさんは次のように話しました。
(テープ)
「少なくとも3、4回ぐらい掛け布団をかぶって女性の家へ遊びに行かなければなりません。掛け布団をかぶるのは、二人が話し合ってお互いに相手のことをよく理解するためです。掛け布団を覆わなければ、女性を外へ誘えません。掛け布団を覆わないのはまだお互いに知り合っていないことを意味するのです。」
男性が掛け布団を覆って彼女を探す風習はいつあるかわかりませんが、晩御飯の後、若い男性たちは掛け布団をもって彼女を探しに行くようになりました。女性の家族は、掛け布団を覆ったまま、家に入ってくる男性を見ると、その男性が我が家の女性と付き合いたいことがすぐわかります。もし同意すれば、男性が女性を外へ連れて行くことを黙認します。ラオカイ省バッサト県に住むカオ・シ・メイさんは次のように話しました。
(テープ)
「男性と女性が気兼ねしないように、女性の両親は他の家に行くこともあります。二人は前から知り合っている場合もあれば、そうでない場合もあります。女性は好きなら、男性と話し合いますが、そうでなければ、帰ります。話し合う時、二人は一緒にその掛け布団をかぶります。夜になると、山はとても寒いのです。」
掛け布団をかぶる祭り
ハニー族の考えでは、掛け布団をかぶるのは男性が女性に自分の気持ちを表すためです。しかし、もし結婚前に、女性が妊娠すれば、二人とも村の厳しい処罰を受けます。結婚前に女性が子供を生む場合、結婚するまでは村の外へ引越ししなければなりません。
ハニー族の結婚式は簡単で、複雑な儀式はありません。婚礼用品は単に雄鶏になる場合もあります。先ほどのカオ・シ・メイさんは次のように話しました。
(テープ)
「結婚式は、男性の家族が雄鶏を一羽用意して自分の先祖に告げて済みます。男性の両親の許可を得なくても構いません。カップルは男性の家で男性の先祖に告げるだけなんです。その後、男性は、親戚や友達を宴会に招待するだけで、結婚式は終わります。その翌日、女性の家族に告げてもいいです。」
しかし、現代生活の影響で、顔合わせ、結納式、結婚式といった3つの段階がある結婚が増えていますが、経済的には余裕があれば、2次結婚を行うという風習が今も残っています。そのため、1次結婚が行われてから50、60年経っても2次結婚を行う夫婦も少なくありません。この2次結婚は家族の繋がりを強くするためのものとして大切にされています。