ベトナムの最小民族5つの一つ、ブラオ(Brao)族は中部高原地帯テーグエン地方のコントゥム省に居住し、同地方の多様な文化の一端を担いながら、伝統祭りを含む独特な文化を維持しています。
ブラオ族はどんな物体も有形であり、山、川、樹木、海のいずれにも神が宿ると考えています。また、生存するためには人間は連携して、神を通じての不思議な力に頼っています。
そのためか、ブラオ族のどんな祭りも神秘的な要素を秘めています。また、農業生産は自然に依存していることから豊作を祈る儀式が重視され、一年中、様々な祭りが行われています。
コントゥム省民族委員会のダン・フンさんは次のように話しました。
(テープ)
「ブラオ族は年間4つの主要な祭りを行います。これらは田畑を耕す時、田植え時、農産物を収穫する時、そして新米が取れた時の祭りです。また、ブラオ族の正月は年末に行われます。祭りの期間中、村人はお酒や米、食料を供出し、ドラやシンバルを演奏します。また、村の長老は神を供養する儀式を行うのです。」
農業生産に関する祭りの他、新居を祝う祭りや新しい村に移住する祭りなども重視されています。また、豊作を祈る儀式は最も重要な儀式と考えられています。儀式が開催される前、各家庭は神へのお供え物としてそれぞれ牛、水牛、豚、鶏などを奉納します。
祭りには1メートルを超える棒が立てられ、その上に米、豚の肝臓、鶏の卵や羽などが掲げられ、神への供養が行われます。また、水牛の供犠には肥えた水牛が選ばれ、5メートルくらいの棒に縛りつけられます。
水牛の供犠 (写真:thanhnien.com)
ドラやシンバルが打ち鳴らされた時、長老は神に村の平安や豊富を祈り始めます。その後、水牛の血を新築した集会所のニャーロン、稲の品種や酒の容器へ捧げます。
ブラオ族は土地の神、水の神、稲の神などは豊作と凶作を左右する力を持つとしています。毎年3月下旬から4月上旬にかけて田植を機に祭りが開催されます。
コントゥム省、ゴックホイ県、ボーイ村の長老タオ・ラさんは次のように語りました。
(テープ)
「ブラオ族は新しい村や家に入居する時、水牛を供養する儀式を行い、平安と健康、豊富、幸福を祈ります。また、耕作が順調に行われ、豊作になることを祈ります。」
他の民族と同様にブラオ族の祭りは儀式と祭りの両方が行われます。厳格な儀式の後、賑やかな祭りが始まります。若い男女たちが太鼓やドラとシンバルの音色に乗って、舞いに加わります。これはブラオ族の文化の美しさを表すものとみられます。