ムノン族の新米祭りの再現

ムノン族は、稲の神を最も神聖な神様とみなしています。新米祭りは、豊作をもたらしてくれる稲の神を始め、山、川、雨、雷の神様に感謝の気持ちを示すとともに、稲を人間の生活を支える重要な存在として顕彰するためです。新米祭りの前に、竹でできた稲穂型をした飾り物をコメの倉庫にかける習慣があります。この飾り物は、稲の魂が離れずにその倉庫に棲みつくという効果があると考えられるからです。

また、新米祭りの準備として、天と地のマッチングを象徴する「ネウ」という木が村の集会所の前に建てられるほか、お酒、鶏、豚などのお供え物が用意されます。祭りは2つの儀式があります。まずは、「ネウ」の前で、神様を祀る儀式が行われます。その後は、倉庫の前で行われる新米を祀る儀式です。儀式の後、村人は、宴会を開き、夜を徹して踊ったり歌ったりします。

ムノン族の新米祭りの再現

しかし、近年、新米祭りを毎年行うムノン族の村は減りつつあり、この祭りを保つことは差し迫った課題となっています。そのため、今年の3月中旬にダクラク省ブオンマートート市で開催されたブオンマートート・コーヒーフェスティバル2019で、ムノン族の新米祭りがフェスティバルの目玉の一つとして再現されました。ムノン族のお年寄りは、昔から伝わる新米祭りを披露しました。ダクラク省文化スポーツ観光局のダン・ザ・ズアン副局長は次のように話しました。

（テープ）

「ブオンマートート・コーヒーフェスティバルの目玉の一つはムノン族の新米祭りでした。この間、ダクラク省は、少数民族の伝統文化の保存・発揮に力を入れており、その中で、少数民族の人々に民族衣装や伝統楽器「ドラ」などをあげたり、ドラの演奏クラスを開いたりしていますが、今回はムノン族の新米祭りを再現したことを通じて、少数民族の祭りの保存に集中しようとしています。」

今年のブオンマートート・コーヒーフェスティバルでは、ムノン族の新米祭りのほか、象のレースや象のサッカー試合などテイグエン地方の象に関する文化を紹介する象祭りが行われました。こうした取り組みにより、ムノン族の新米祭りを含むテイグエン地方の伝統文化がこれからも保たれると期待されています。