モノン族は様々な良い風習を保っていますが、その中に人文的な通例から発生したコミュニティの団結があります。これらの通例と風習はモノン族のコミュニティの存在と発展を左右するものとみられます。
新米の収穫を祝う儀式
モノン族はいくつかのグループに分かられていますが、主に中部高原地帯のダクノン省、ダクラク省、ラムドン省や南部ビンフォック省に居住しています。ダクラク省民族博物館のルオン・タイン・ソン館長は次のように語りました。
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「文化の特徴や分布、居住地んいよってモノン族の各グループを分別することができます。例えば、モノン・ルラム グループは川の流域に居住し、稲作に従事しています。モノン・ブドン グループはブオンドン県に住み、象の狩猟と調教を行っていました。また、モノン・プレック グループはダクノン省のダクミル県などに、モノン・ガル グループはラムドン省に集中し、焼畑を行っています。」
モノン族は生活条件によって多くのグループに分かれていますが、共通言語や独特な文化、風習などを維持しています。モノン族の考えによると神秘的超能力を持つ人が人間の生活を支配するとしています。また、祖先は家族を祝福し、カマドの神は火を守り、稲と農産物の神は豊作をもたらす一方、雷の神は悪事を行った者を裁くということです。また、多神教を信仰することから様々な儀式を行います。代表的な儀式としては成人式、結婚式、長寿を祝う儀式、祝福儀式などがあります。これらの儀式や風習、通例、ダブーはモノン族のコミュニティの存在を確保する要素となっています。ダクラク省の各民族の研究者グエン・カイン・ズイさんは次のように語りました。
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「モノン族のコミュニティでは団結が重視されています。各家庭、家族、近所の人々の間の紛争、対立は通例によって解決されます。また、仲介人は風習、通例に明るい人であり、公平な立場で処理し、双方の和解に取り組まなければなりません。」
モノン族の通例には和解が第一に位置づけられますが、罰則に関する規定も盛り込まれています。違反行為の深刻さによって罰則が決定されます。
現在も、モノン族は高齢者や村長など、村の功労者に対する援助を規定する通例に従っています。これらの対象者は尊重され、援助を必要とする場合、村人が手を貸さなければならないとしています。また、誰かが亡くなった場合、村人は共同で葬式を行う一方、その家族に物的援助を提供します。また、収穫時期に村人は互いに収穫を支援し合います。ラク県に住むモノン・ルラム グループのアマ・フオンさんは次のように話しました。
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「いくつかの通例が変わりました。例えば、婚姻の儀式が簡素化されました。かつて、結婚式は2、3日間にわたり開催され、豚肉や鶏肉を用意し、村人全員を招待しました。現在はそんなにお金をかけなくても、伝統的な風習が保たれています。特に男性は妻の実家に住み込むという風習が維持されています。また、夫と死別した女性が再婚を望む場合、死者との永遠のお別れ式「ボーマ」儀式を済ませるまで待たさなければなりません。」
モノン族の風習・通例はコミュニティの団結を表すと同時に民族の文化色の発揮に寄与するとみられています。現在も、これらの良き風習が保たれ、文化的な村落づくりの基準のひとつとなっています。