モン族の祭りは様々です。祭りは農作業と結びついて、家族、コミュニティの連結の強化を目指しています。祭りの中でも特に新年を祝う祭り、つまり正月はモン族の重要な行事の一つです。国内のどの地域に住むモン族も新年を祝う祭りを催しますが、居住地によって、開催期間は異なります。
モン族の新年を祝う祭りは農作が終わる11月に行われます。彼らの正月は他の民族と同様に独自性を持っています。また、正月の料理も独特です。その中で、バインザイというお餅は正月の欠かせない料理であり、農作業に従事する人々の工夫を表し、幸福で豊かな生活への願望を示します。
正月が来ると、どの家庭も接客や親戚への贈り物として、お餅をたくさん作ります。お餅のほか、女性たちはトウモロコシの地酒を作ります。お餅、トウモロコシのお酒、鶏の丸焼きは祭壇にあげるお供え物です。ベトナム民族学博物館・教育室のチャン・トゥ・トゥイ室長は次のように語りました。
(テープ)
「新年に、モン族は鶏を奉納します。鶏は神物と思われているからです。鶏の首を落としてから、祭壇、柱、ドア、台所、また、家具に血を塗り、毛を貼ります。これらは幸運を呼ぶと考えられています。」
旧年から新年へ移行する時に、モン族は祭壇の前に健康、平安、豊作、豊富を祈ります。一方、モン族の正月についてダブーを抜きにして語ることはできないでしょう。さきほどの民族学博物館・教育室のチャン・トゥ・トゥイ室長は次のように話しました。
(テープ)
「モン族にとって正月の3ヶ日、知らない人が家に入ることや野菜を食べることなどはダブーとされています。また、モン族の住居は玄関と通用口の2つのドアがあります。正月に、玄関の出入りは禁止されています。というのは玄関はドアの神を祀るところだからです。」
家の中で、儀式を行ってから、野外で祭りや娯楽活動が行われます。竹笛の一種ケン踊りや傘踊り、石弓など、民族色豊かな文芸やスポーツ活動が披露されます。また、布で作ったボール投げは独特な民間遊戯で、モン族の若い男女の間に人気があります。さきほどのトゥイさんは次のように語りました。
(テープ)
「祭りを機に、モン族の若い男女は自由にデートをしたり、民間遊戯に参加したりすることができます。また、男性は竹笛ケンを踊り、女性は歌います。こうした祭りをする中で互いに好きになり、結婚に至るカップルもいますよ。」
モン族にとって正月は待ち焦がれる日々であり、大変な労働が続く一年間の後のリラックスできる期間です。モン族の独特な正月は53民族の様々な行事とともにベトナムの多様な文化を作り上げています。