モン族は生活の中で馬を愛好し、優しくする傍ら、面白いスポーツとしての競馬を頻繁に行っています。先頃、ハノイ郊外ソンティ町で、開催された「祖国の至る所が春」と題する祭りで観客は北部山岳地帯ラオカイ省に住む騎手による優れた競技が鑑賞できました。
16頭の馬が8組に分かれて、8回で、競馬が行われました。モン族出身の騎手は馬に乗って、プラスチックのヘルメットをかぶり、キャンパスシューズを履き、サドルや防具なしで、乗馬しました。また、動こうとしない馬や進行方向以外に走る馬がいるなど、騎手は極めて大変です。騎手は転倒することもあります。ラオカイ省、バクハ県のナホイ村の騎手バン・バン・クエットさんとバン・バン・クオンさんは第1ラウンドを終えました。クエットさんは次のように語りました。
(テープ)
「幼い頃から、馬の習性を覚えたので、うまく走れますよ。馬から転げ落ちないようにバランスを取らなければなりません。走っていても馬が急カーブすることも直ぐ感じられます。」
一方、クオンさんは次のように語りました。
(テープ)
「馬に着実に乗れるよう馬の性格をよく知らなければなりません。馬に優しく接して、頻繁に駆れ回っていれば、その癖が分かるようになりますよ。」
さきほどのクエットさんはまた、馬の手綱の持ち方や競走馬の選び方について次のように説明しました。
(テープ)
「手綱の操作は運転するような感じです。もちろん、馬で駆け回るのはバイクで走るのと同じではないけど、手綱を引いて、馬を自分の意志通りに動かします。親近感が得られる馬を選んだ方がいいと思います。うまく育成・調教できるからです。」
競馬を前に、モン族の騎手たちは一年間かけて、競馬を練習します。馬に親近感がわく前にあせってはいけません。かつて、競馬レースは山道でしたが、現在はコンクリート舗装された道路です。練習の傍ら、勝利を収めるためには馬を周到に競走馬に育てる必要があります。また、親のようにときに厳しく、ときに優しく、一頭一頭の性格に合わせて接することを心がけています。クオンさんの話です。
(テープ)
「エサに気を使わなければなりません。一日に50キロの草や500グラムのトウモロコシの粉を混ぜ、炊きます。また、暇がある時は優しく馬に接する必要があります。」
モン族の競馬は馬を運搬手段として使う風習から端を発しています。若い男性たちは馬に荷物を載せない時は競走させます。それをきっかけに畑仕事が終わってから、モン族の集落に競馬が行われるのです。こうした民間競技はモン族独特の文化となっています。モン族の競馬は観る人に深い印象を与えることでしょう。