ラグライ族の弦楽器「チャピ」とは


ベトナム中南部に住む少数民族ラグライ族の最も代表的な楽器として「マレー」というドラと「チャピ」という弦楽器が挙げられます。この2つの楽器は音色が似ていますが、マレードラは大きな財産というべき、お金持ちのものである一方、チャピは庶民の楽器です。

ラグライ族の一人でこの民族の文化を研究しているマウ・クォック・ティエンさんによりますと、チャピは結婚式や、新米祭り、家族団らん、友達の集いなどラグライ族の祝いごと行事に欠かせないものです。かつてはラグライ族の人なら、誰もがチャピを弾く事が出来ましたが、今は、チャピを奏でる人は多くないです。また、チャピを作れる人はそれよりも少ないです。


ラグライ族の弦楽器「チャピ」とは  - ảnh 1
チャピ

ティエンさんのご紹介で、チャピ職人として知られているピー・ナン・トゥアンさんのご自宅を訪ねました。

トゥアンさんによりますと、チャピを作るためには、長さ約30センチで、直径10センチ以下の節の一つの竹が必要ですが、この竹の節はその本体が薄いのが求められます。真っ赤に焼けたノミを使って竹の節に穴を開けます。トゥアンさんの話です。

(テープ)

「このチャピは6つの穴がありますが、両端にそれぞれ一つずす穴があって、それは大きな音を出すための穴です。チャピ本体にある穴は、メロディーを作り出すため、決まった列に並べて開けられます。」

穴を開けた後、ナイフで薄くむいた竹の皮をチャピの紐にします。合計で12本の紐を6つのペアにします。ちょっと刻んで飾ると、チャピが出来上がりました。トゥアンさんは出来上がりのチャピをじっと眺めて満足気そうな顔をしました。そこから、チャピを弾いてもらいました。

(チャピの音)

ラグライ族の弦楽器「チャピ」とは  - ảnh 2
チャピを夢中に演奏するラグライ族の職人

現在、誰もがチャピを持って弾けるというわけではありませんが、お祭りはもちろん、ラグライ族の日常生活でよく使われます。ラグライ族の習慣としてお年寄りがチャピを弾きながら、囲炉りの周りに座る若者に叙事詩や昔話を物語ります。また、雨が降る夜は、「蛙」という曲をチャピで弾くこともあります。

そして、畑に忘れ物をしたら、「忘れ物」という曲を弾いて、拾った人に返してもらいます。さらに、カップルが帰るとき、「帰るよ」という曲を引き出し、帰りたくない気持ちを表します。ラグライ族の文化を研究しているマウ・クォック・ティエンさんは、チャピはマレードラに次ぐ重要な楽器であると述べ、次のように語りました。

(テープ)

「ラグライ族にとって、チャピは小さなマレードラとも呼ばれています。マレードラはお祝い行事や民謡などに欠かせない存在ですが、マレードラの音色に似るところが多いチャピは持ちやすいので、よく使われています。女性はチャピを弾きながら、赤ちゃんをおんぶして子守りすることもできます。チャピは弦楽器ですが、マレードラの種類に属しています。」

20年前、ベトナムの有名な作曲家チャン・ティエン氏はチャピの音色を聴いた後、感動して「チャピの夢」という歌を作曲しました。それはこんな風に歌っています。「自由と森を愛する人は山に行ってチャピを聞こう。チャピの紐が揺れるとき、チャピはラグライ族の人々の精神をいっぱい包み込む。」という内容です。歌詞通り、ラグライ族を理解するためには、まずチャピの音色を聴くことが重要でしょう。

 

 

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