(VOVWORLD) - 中国と国境を接している北部山岳地帯のランソン省は、テイ族やヌン族などの少数民族の居住地です。こうしたランソン省は、各少数民族の豊かな伝統民謡を誇りにしており、伝統民謡の保存に取り組んでいます。
ランソン省民謡保存協会の演奏団 |
(テープ)伝統民謡の歌
ランソン省に住む少数民族の伝統民謡をお聞きいただいています。ランソン省に住む各少数民族の伝統民謡の中で最も有名なのは、テイ族の民謡「テン」と、ヌン族の民謡「スリ」です。
テイ族の人口はおよそ170万人で、ベトナム少数民族の中で最も人口の多い民族です。ティ族は詩や歌、舞踊、昔話、ユーモアな物語など多様な文化を誇っています。その中で、「テン」(Then)という民謡はティ族の精神を支える上で欠くことのできないものであり、世界無形文化遺産として申請中です。テンはテイ族の言葉で、天と地の「天」という意味です。この民謡は神様に豊作や幸福などを祈るもので、神様にお願いするための地から天までの道のりを物語ります。安定した天候を祈るテンのほかに、長生きの長寿、男女の愛、幸運などを祈るテンもあるんです。こうした民謡テンは、平穏を祈る儀式や、先祖を思い出す儀式など村の宗教的な行事に欠かせないものです。
一方、少数民族ヌン族の人口は100万人以上で、ベトナムの54民族の中で、人口で第7位となっています。ヌン族は、豊富で魅力的な民謡を歌うことで知られています。ヌン族は、民謡を男女の恋愛感情を示すものとして、心の底まで響くように歌います。ヌン族の民謡は、日常生活の中から生まれたもので、人の気持ちやものの考えのほか、ヌン族の習慣や次の世代に伝えるべき習い事も含まれています。ヌン族の民謡は、物語や歌垣など種類はたくさんありますが、「スリ」という民謡は独特なものと言われています。
クラブの活動 |
こうした豊かな伝統民謡の保存を支えているのはランソン省民謡保存協会です。2010年に設立されたこの協会は現在、1000人以上のメンバーからなる50のクラブを含めています。各クラブは、伝統民謡の披露や、民謡を教えるクラスなどを行っており、伝統民謡に対する住民の興味を芽生えさせています。
カウプンというクラブのメンバーであるホアン・トゥアン・アンちゃんは次のように話してくれました。
(テープ)
「テンのクラブに参加してから4年が経ちました。クラブのベテラン職人に、民謡「テン」と琴「ティン」の美しさを教えてもらいました。そのため、基本的な歌の多くを歌えるようになりましたよ。」
これらのクラスで勉強した多くのメンバーはそれぞれの居住地で民謡保存運動の担い手となっています。また、各村の間の民謡交流会も頻繁に行われています。これは、伝統民謡の保存だけでなく、地元の人々の団結の強化に役立っていると評されています。
ランソン省民謡保存協会のチエウ・トゥイ・ティエン副会長は次のように話しました。
(テープ)
「喜ばしいことに、近年、伝統民謡に興味を持つ若者が増えつつあります。特に、民謡クラスに参加する中学校の生徒は多いですね。また、伝統民謡に詳しい若手職人も増えつつあります。」
クラブの活動 |
ランソン省民謡保存協会は、伝統民謡の保存・開発をさらに促進させるために、現地行政府の支援を活用し、伝統民謡に対する住民の認識を向上させる方針です。同協会のヴィ・ホン・ニャン会長は次のように話しました。
(テープ)
「当協会や職人たちの努力は不十分ですので、現地行政府と社会全体の手を貸してもらいたいと思います。伝統民謡は計り知れないほど貴重な遺産で、どうしても守らなければならないということを、皆に認識してもらいたいのです。」
こうした努力により、ランソン省の伝統民謡は着実に保存・発展してゆくことでしょう。