(VOVWORLD) - ベトナム北部山岳地帯に居住している少数民族ロロ族の葬儀に関する習慣は信仰的なものではなく、親孝行やコミュニティの精神も示すもので、文化的な価値が高いと言われています。
ロロ族の女性 |
ロロ族は、ほかの民族と違って、親族が死んでもあまり悲しみません。死ぬことは、先祖と再会し、新しい生活を始めるという意味があるからです。
葬儀は祈祷師の主催のもとで行われます。葬儀のお供え物は鶏肉、おこわ、お酒などです。その中で、鶏は、死んだ人を、高い峠や大きい川などを渡って先祖のところに導くものだと考えられています。葬儀はその家族のイベントであるだけでなく、村のイベントでもあります。村人は、食料や食品を持ってきて、葬儀を手伝うのです。ハザン省に住む祈祷師ロ・ジ・パオさんは次のように話しています。
(テープ)
「葬儀の儀式に欠かせないお供えは鶏です。そして、埋葬するとき、牛か豚を用意しなければなりません。葬儀では、村人が手伝いに行くのは当たり前のことです。葬儀は2日間にわたり行われますが、魂を祭壇に送るという儀式をやって終わります。」
銅製の太鼓 |
銅製の太鼓は葬儀の儀式に欠くことができません。ロロ族の人々にとって、銅製の太鼓は貴重な財産であり、信仰の儀式に欠かせない楽器でもあります。この太鼓は、ロロ族の魂を象徴するもので、村長か村で威信が高い人にしか保存することができません。銅製の太鼓セットは2個からなり、その中で、オスとされる太鼓はメスとされる太鼓より大きくて、音も遠くまで響きます。ロロ族は、銅製の太鼓の音がある限り、死んだ人の魂が先祖の元へ行けると考えています。ロロ族の一人ル・ジ・ジエンさんは次のように話しています。
(テープ)
「普段、銅製の太鼓は土の中に保存されます。葬儀のときだけ、土の中から取り出して使います。太鼓を借りるためには、おこわや鶏などを用意しなければなりません。太鼓を使ったら、先祖に感謝するためにお供え物を用意する必要があります。」
森人の舞い |
ロロ族の葬儀に欠かせない儀式の一つは、4、5人の若い男性が踊って魂を先祖の元へ見送る儀式で、「魂の舞い」と呼ばれるものです。これらの若い男性が昔の先祖の服装と同様、葉っぱなどで体を装うことから、「森人の舞い」とも呼ばれています。これらの男性は未婚で、踊りが上手な人でなければなりません。魂の舞いは、稲作や、トウモロコシの収穫、米を搗く動作など農作業の活動を再現するのが一般的です。
現在、ロロ族の「魂の舞い」は、ロロ族の居住地を訪れる観光客に見せる観光商品となっています。これは、ロロ族の葬儀習慣の維持に役立つと期待されています。