ベ トナム最北端のハーザン省に集中的に居住している少数民族ロロ族は春祭りやトウモロコシ狩り祭り、雨乞い祭りなど独特の祭りがたくさんありますが、中 でも、雨乞い祭りは最も重要な祭りの一つです。この祭りは、ロロ族の信仰だけでなく、この民族の考え方や習慣なども反映されるものです。
ロロ族の雨乞い祭りは、雨が降って豊作になり、生活も豊かになることを神に祈るために行われるものです。この祭りは旧暦の3月頃に行われるのが一般的です。
ハーザン省メオバック町スンパア村の村長ロ・シ・パオさんは次のように語りました。
(テープ)
「日照り続きの年は旧暦の3月になっても雨が降らなければ、雨乞いをする祭りを行います。旧暦の3月13日が一般的です。雨が降らなければ、農業ができないので、村人は全員、祭りのために寄付をしなければなりません。個人でやっちゃだめですよ。」
祭りの時、神前に奉納するお供えは、一羽の雄鶏、2匹の犬、木刀か鉄の刀、お水、お酒などです。また、銅でできた 太鼓と二弦楽器も祭りの儀式にとって欠かせないものです。ロロ族の考えでは、銅太鼓は天地創造の時に作られました。そのため、銅の太鼓は宇宙の象徴であり、神 聖化された人間の象徴でもあります。雨乞い祭りでは、メスの太鼓とオスの太鼓からなる2個セットが使われます。そして、ロロ族の二弦楽器は他の民族の二弦 楽器と形は同じですが、大きさは3、4倍です。
祈祷師
雨乞い祭りの始めは祈祷師が祈りの儀式を行います。(祈祷師の祈りの声)
祈りの儀式は2時間で2回に分かれて行われます。村人は全員、祈祷師が選んだ場所にお供えや楽器などを持ってきて、儀式に臨みます。先ほどのパオさんは次のように話しました。
(テープ)
「雨 乞い祭りは、家ではなく、畑で行わなければなりません。その時、村人は全員そろっていなければなりません。そして、民族衣装を着ていなければなりません。お供えは鶏、犬、おこわ、線 香などです。祈祷師は四方にいる4人の神様のほか、最初のカップルに拝みます。このカップルは人間を創ったので、このカップルに祈らなければ、だ めです。」
2回目の儀式では、祈祷師と4人のアシスタントは4方向を管理する4人の神様を村人と一緒に食事に招き、豊作を与えてくれることに感謝します。
儀式の後、村人はお酒を飲みながら、歌を歌ったり、踊ったりします。これは、若者にとってテフア(Te Phua)、テラ(Te La)、タシフア(Ta Shi Phua)などロロ族の民謡を披露するチャンスです。
雨乞い祭りにはロロ族の人々だけでなく、モン族やテイ族など周辺に住む他の民族の人たちも参加します。メオバック町スンパア村に住むカン・ティ・クイさんは次のように話しました。
(テープ)
「村人は皆、雨乞い祭りのために自発的に寄付をします。ロロ族の人でなくても、周辺に住む人なら、寄付をします。私たちは、若者に伝統文化を知ってもらうために、この祭りを保っています。祭りの前に、伝統的な踊りや民謡を若者に教えます。」
豊かな生活への期待を示すロロ族の雨乞い祭りは、地元の人々が知り合いと会って生活について話し合い、若者が結婚相手を探す場にもなっています。