(VOVWORLD) - ベトナム東北部クアンニン省のビンリエウ県の学校では、伝統衣装を着た教師と生徒の姿を見かけます。これは、民族の伝統文化の保存に対する子どもたちの意識を高めるためです。
伝統衣装を着ている生徒たち |
中国と国境を接するビンリエウ県は、少数民族が人口の96%を占めており、少数民族の割合が最も高い県の一つです。その中で、テイ族は人口の51%を占めており、残りはザオ族やサンチャイ族、ホア族などです。それぞれの民族は特有の文化を誇っており、伝統衣装は民族文化の特色を表すものの一つであり、ほかの民族と区別するための一番の目印でもあります。
しかし、現代的な生活の影響で、日常生活で洋服を着る人が増えつつあります。これを懸念し、ビンリエウ県は県内のすべての学校の教師と生徒が毎月の第1週目の1週間と残りの週の月曜日と金曜日に民族の伝統衣装を着用するというルールを2015年に出しました。最初は小学校、中学校、高校のそれぞれ1校で試験的に展開され、その後、徐々に県内のすべての学校に広げていました。この取り組みに参加したビンリエウ県情報センターのト・ディン・ヒエウ副所長は次のように語りました。
(テープ)
「最初、皆は洋服着用に慣れていたため、伝統衣装の着用は時間がかかるし、不便であるなどの文句を言ってしまいましたが、その後、宣伝啓もうを促し、皆に学校での伝統衣装着用のメリットを理解してもらいました」
これにより、このルールは教師と生徒の支持を受け、決められた日以外にも伝統衣装を着用する教師と生徒が増えていきました。そのため、ビンリエウ県の学校では、各民族の色とりどりの伝統衣装に目を奪われます。フックドン小学校のテイ族出身の教師ルック・タイン・トゥイさんは次のように語りました。
(テープ)
「決まった日に教師も生徒も伝統衣装を着用します。自身の民族の伝統衣装を学校で着用することは誇りです。これは自身の民族の豊かな文化を知らしめるとともに、伝統文化の保存に対する生徒の意識を高めるという効果があると思います」
伝統衣装を着ている生徒たちが披露する学校のイベント
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学校での伝統衣装の着用に関するルールが出されてから7年が経った現在、伝統衣装の着用はビンリエウ県の学校の教師と生徒の習慣となりました。これにより、生徒たちは伝統衣装について深く理解するようになりました。ザオ族の生徒チュウ・ムイ・ズオンさんは次のように語りました。
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「私の学校には多くのザオ族の生徒がいます。ザオ族の伝統衣装は派手で、模様も色とりどりです。伝統衣装を着て学校に行くたびに、周りの人より際立って誇りに思います」
伝統衣装の着用習慣は学校から職場や市場にも広がってきました。そのため、ビンリエウ県では、いたるところで少数民族の伝統衣装を着ている人の姿を見かけます。ビンリエウ県人民委員会のグエン・ティ・トゥイエット・ハイン委員長は次のように語りました。
(テープ)
「伝統衣装は素晴らしい文化の一つで、必ず保存・開発しなければなりません。ビンリエウ県は伝統衣装を始め、少数民族の文化を、地元の社会経済、特に観光開発を推進するリソースと見なしています」
伝統衣装はある民族のアイデンティティを示す要素の一つであり、ビンリエウ県のこの取り組みが広がっていくことが期待されています。