少数民族サンチ族の結婚

ベトナム東北部に集中的に居住している少数民族サンチ族は結婚を大事にしており、結婚には様々な儀式があり、今も守られています。

サンチ族の結婚では、顔合わせ、占い、婚礼用品の求め、結納、花嫁の迎えなど様々な儀式が行われます。その中でも、結納はサンチ族ならではの儀式の一つと評されています。結納は春あるいは農閑期に行われるのが一般的です。また、旧暦の1日か15日に行う人も多いです。結納は、花嫁と花婿が婚礼用品について話し合うためのものです。


少数民族サンチ族の結婚 - ảnh 1
結納の風景

結納の日、男性の家族に頼まれた媒酌人は、4人の若い男性を連れて女性のうちへ行きます。媒酌人は、妻がいて子沢山の男性で、花婿の家族と血縁関係がない人です。また、喋り上手で、結婚をはじめ、サンチ族の習慣に詳しくなければなりません。

その媒酌人が女性の家の前に着いた時、女性の家族と歌垣をしなければなりません。歌垣で女性の家族に勝てば、家に入れますが、もし負ければ、お酒を飲まなければなりません。飲めないと、頭から酒をかけられます。

少数民族サンチ族の結婚 - ảnh 2
頭に酒をかけます。

結納式が終わったら、女性の家を出る前に、媒酌人以外の男性の家族のメンバーは鍋の墨で顔に線を書かれます。これは、悪魔や鬼などが気づかないようにするものです。結納後は、そのカップルとその家族はお互いにより詳しく調べます。その期間は1年から3年までです。バクザン省ルックガン県に住むリー・ティ・ナムさんは次のように話しました。
(テープ)

「私の場合、結納からちょうど3年後、結婚式を行いました。この3年間、主人は学校に通い続けていました。2人とも、まだ実家に住んでいました。私は20歳になった時にも、結婚式を行いました。結納は、その女性にとって結婚相手がいるので、近づかないでと、他の男性に示すためのものです。女性もまた、いい奥さんになるような成長をするためなのです。」

結婚式の1ヶ月前に、女性の親戚は女性への別れ会を行います。送別会で、親戚の人たちは女性に結婚生活の注意やタブーなどを教えます。結婚式の前日、男性の家族は、女性のうちへ花嫁を申し込む儀式を行いに行きます。バクザン省ルックガン県に住むリー・ヴァン・マックさんは次のように話しました。
(テープ)

「女性の家へ嫁取りの儀式を行いに行くのは男性の家族に頼まれた媒酌人と、花嫁介添人を務める2人の少女です。婚礼用品として、布団、生の鶏と牛の他、140キロの豚肉、数十キロの米ともち米、60本から80本のお酒を花嫁の家へ持参しきます。その婚礼用品は、バイクなどで運ぶのではなく、天秤棒などで担がなければなりません。なぜかというと、昔、サンチ族はほとんどが平地ではなく、山に住んでいたので、天秤棒で担ぐしかなかったんです。」

少数民族サンチ族の結婚 - ảnh 3
新夫婦

翌日、つまり結婚式の日、媒酌人と2人の花嫁介添人はまた、女性のうちへ花嫁を迎えに行きます。花嫁のうちから花婿のうちへ帰る途中、橋や谷川を渡るたびに、媒酌人は、悪魔や鬼がじゃまをしないように、コインを撒きます。花嫁とその家族は花婿の家に着いても、すぐには入りません。先ほどのマックさんは次のように語りました。
(テープ)

「花婿の家族の一人は花嫁の家族にお茶などを招待しますが、その人が家族と友達に囲まれている花嫁を見つけられなければ、花嫁の家族は決してお茶などをもらいません。その人はどうしても花嫁を見つけなければなりません。」

サンチ族の結婚の日はその家族だけでなく、村全体が楽しい日になります。結婚式が終わっても村人、特に若者たちは集まり続けて、新しい夫婦の幸福のために徹夜で歌垣に講じます。


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