モノン族は様々な風俗習慣や独特な行事・祭りを誇っていますが、中でも人生の通過儀礼である伝統的なスタイルの結婚式を重視しています。結婚式は文化活動の一つと見なされ、民族色を表しています。
銅のドラとシンバルの演奏会や雨乞い、新米の収穫を祝う祭り、歌垣などはモノン族の若い男女たちにとって出会いのチャンスとなります。男性は好きな女性を見つけると、母親の弟や仲人に対して女性の家族に結婚の申し込みをするよう頼みます。
モノン族は母系制度を維持している5つの少数民族の一つであることから、女性が主体的に婚姻を決定付けます。
ダクラク省の民族博物館・民族文化研究員のグエン・ティ・ゴックさんは「モノン族の考えによりますと、良い婿は家族に繁栄と豊富をもたらす」と明らかにし、次のように語りました。
(テープ)
モノン族の母系制度によりますと、男性は妻の実家に住み込みます。ですから、男性の家族は結納品を求める権利があります。女性の家族は男性の家族の要求に応えなければなりません。」
モノン族の結婚式
モノン族の結婚風習はキン族と同じです。最初は結婚の申し込みです。それは男性の家族が女性の実家を訪れ、両親に男女二人の結婚の許しを得る儀式です。男性の方はおコメ、鶏、首飾り、スカートを持参しなければなりません。
これらの品々を受け取る前に、女性の両親は娘に同意するか否かを尋ねる必要があります。また、結婚を約束した後、女性の方は大きなお酒瓶を男性の家族に渡します。また、仲人は男性の家族を代表して、結納品について相談します。
およそ1年を経て、男性の家族は結納品として竹の子、首飾り、銅製の腕輪を女性の実家に持参して、婚約を行います。仲人は女性に首飾りをつけ、男性に腕輪をはめます。これにより、両家は男女の結婚を認めるということです。その後、両家は結婚式の日取りについて話し合います。
婚約から結婚式までの期間は約一週間です。結婚式に備え、女性の家族はバスケット100個分のおコメ、酒瓶100本、牛1頭を用意しなければなりません。また、男性の両親と親戚への贈り物として茶碗50個、コップ50個、50の首飾りを準備する必要があります。
モノン族のア・マ・フオンさんの話です。
(テープ)
「昔、結婚式の費用は高くなかったが、開催期間は長かった。両家は鶏や豚肉を用意し、村人全員にご馳走をしたもんです。披露宴は2、3日続き、人々はお酒を飲んだり、歌ったり、踊ったり、ドラを鳴らしたりして、若い夫婦に祝辞を述べます。これはモノン族の風習です。」
結婚式の幕開けに女性の家族は男性の家族一人一人におコメ一杯分を差し出します。これは豊かな生活を送るよう願うという意味があります。仲人は結婚式の主催者を演じ、若夫婦の緊密なつながりの象徴として、スカーフを家の柱に縛り付けます。その後、夫婦の扱いや両家族に対する責任などについて説明します。
結婚式の参加者は誰もがお酒やもち米、食品を持参します。結婚式の後、若夫婦は7日間、家にこもり、知らない人との接触はしません。次の7日間には、男性の実家に泊まり、その後、女性の家に住み込みます。
モノン族の結婚式は美しい風習で、民族色豊かな文化活動でもあり、今日もなお、大切に保存されています。