(VOVWORLD) - ベトナム北部山岳地帯に居住する少数民族赤ザオ族は、一年中多くの行事や祭りを楽しみますが、その中で、火の中に飛ぶ祭り、いわゆる火飛び祭りは最も重要なものです。
赤ザオ族 |
赤ザオ族の信仰では、火は、人間に平穏な生活を与える力が強い神様です。火飛び祭りは、旧暦の1月2日から8日までの間に行われるのが一般的です。その時はまだ寒いので、火飛び祭りは火の神様を始めとする各神に、平穏な生活はもちろん、温かさも与えて寒さを和らげるよう祈ることが目的です。北西部デイエンビエン省ナムポ県フオイサウ村の村長チャオ・シエン・タさんは次のように話しました。
(テープ)
「火飛び祭りは、神様と先祖を招待し、村人の平穏な生活を祈るためのものです。豊作になることや、悪魔を追い払うこと、病気にかからないこと、子どもの成績がよくなることなどを祈りますよ。」
祭りの準備をしている祈祷師 |
祭りの準備作業として、まずは火の神様にお供えするものを用意します。祭りに欠かせないお供え物は、豚の頭か子豚、お水、お酒、お米、2個の銀コイン、線香、紙製の祭祀用品などです。そして、火飛びですから、薪も用意しなければなりません。祭りの初めに、村の祈祷師が祭壇の前で神様と先祖を祀る儀式を主宰することです。同時に、大きな焚火に火をつけます。神様と先祖を祀る儀式が終わった時、薪の多くが薪炭になりました。
祈祷師の同意を受けてから、若者たちは裸足で焚火の中に飛び始めます。不思議なことは誰もがやけどをしないことです。赤ザオ族の人々は、裸足で焚火の中に飛ぶことを神様に接する方法と見なしています。何回も焚火の中に飛んだチャオ・サン・フィンさんは次のように話しました。
(テープ)
「神様が私たちの体に入ったようで、夢遊状態になって飛びました。でも、飛び終わってから、より元気になりましたよ。」
焚火に火をつけています。 |
誰もが焚火の中で飛ぶわけではありません。神様に接する方法なので、その規制は厳しいです。赤ザオ族の一人チャオ・キエム・フィンさんは次のように話しました。
(テープ)
「焚火の中に飛ぶ人はわずか8人です。これらの人たちは、祈祷師に選ばれ、祈祷師の指導をちゃんと受けなければなりません。彼らは健康で、火飛び祭りの数日前から、犬の肉を食べることと、女性と交わることが禁止されます。」
焚火の中に飛んだ後、赤ザオ族の伝統的踊りの披露会が行われます。これらの踊りの中には、神様の力を示すものもあれば、人間の日常生活を再現するものもあります。火飛び祭りは、祈祷師が、紙製の祭祀用品を燃やすことで終わります。
火飛び祭りは今もなお、赤ザオ族の村の多くで大切にされていて、新年を楽しむ赤ザオ族ならではの文化の一つです。