TPP=環太平洋経済連携協定の交渉が大詰めに入っています。専門家らによりますと、TPP加盟により、ベトナムの繊維製品などの輸出はさらなる利益を得るとしています。しかし、紡績縫製企業はTPPの要求に応じるため力を尽くさなければなりません。
TPPとは自由化レベルが高い包括的な協定で、世界のGDP=国内総生産のおよそ40%、また、貿易額の3分の1をカバーする巨大な自由貿易圏となります。TPP交渉に参加している12カ国の中に、ベトナムの重要かつ大規模な輸出先にアメリカと日本があります。この協定に基づき、アメリカ向けに輸出されているベトナムの繊維製品の税率が撤廃されることになります。
現在、この税率は17.5%です。ただ、TPPへの加盟により、紡績縫製企業は利益を受ける一方で、多くの試練に直面すると予測されています。一例を挙げると、TPP加盟諸国への繊維製品の輸出に際し、優遇税制の適用を受けるために、ローカルの原材料、または他の加盟国の原材料を使用しなければなりません。この要求に応えるため、ベトナムの紡績縫製企業は現地調達率の引き上げや原材料生産への投資の強化などに取り組んでいます。
ベトナム紡績縫製グループ・ビナテックス(Vinatex)社のレ・テイェン・チュオン副社長は次のように語りました。
(テープ)
「これまで紡績縫製部門の準備作業と国際社会への参入は正しい方向に進められていると思います。ベトナムは付加価値の引き上げ、デザインや原材料を主体的に用意するよう尽力しています。ベトナム政府はアメリカとのFTA=自由貿易協定からWTO=世界貿易機関への加盟、また、現在のTPP交渉に至って、数十年にわたり、準備を行ってきました。」
こうした準備により、ベトナムの紡績縫製部門の現地調達率は25%ないし30%からおよそ50%に増えました。現在、紡績縫製部門の関心事の一つは、アメリカが主張している繊維と衣料品に対し、原産地に加盟国内で生産された糸、繊維を原料に使わねばならないという「ヤーンフォワードルール」に対応することです。これは難題ですが、ビナテックス社は実施する決意を表明しました。
さきほどのレ・ティエン・チュオン副社長の話です。
(テープ)
「ヤーンフォワードルールはTPPの重要な交渉内容です。原料を周到に準備しなければなかなか優遇税制を享受することができません。ですから12件の糸生産プロジェクトと9件の紡績プロジェクトに投資を集中的に行っています。これらのプロジェクトに対する投資額は繊維プロジェクトと比べ、かなり上回りました。これは長期的かつ持続的な発展を狙うものです。」
原料生産プロジェクトへの投資を促進する傍ら、ビナテックスと関係機関は企業に原料の提供に関する外国投資家の競争力への認識向上を目指し様々な活動を行っています。
ベトナム商工会議所・法制委員会のダウ・アイン・トゥアン委員長は次のように語りました。
(テープ)
「実際、外国人投資家はTPP交渉やヤーンフォワードルールに関する情報に関心を寄せています。ですから、ベトナム企業はこれらの問題に注視しなければなりません。中小企業をはじめ、各企業は情報のアップデートに取り組む必要があります。」
今年、ベトナム紡績縫製部門は伸び率を10%に、輸出額を230億ドルにするという目標を設定しました。アメリカ、EU、韓国、日本など、主力の市場向けの輸出は好調であると予測されていますが、TPP交渉が成功すればベトナムの繊維製品輸出企業に多くのチャンスをもたらすことでしょう。