ベトナムには「不死の英雄」と思われる4人の神様がいます、その中のゾン( Giong)という英雄はハノイ郊外にあるザーラム(Gia Lam)県、フードン(Phu Dong)村に祀られています。毎年、旧暦の4月6日から一週間この村で、ゾン神様の恩に報いる祭りが行われ、北部デルタ地域の大きな祭りと言われています。この祭りの開催期間中の3日間、祖母神社への旗あげ行列や精進料理を捧げる儀式が行われます。フードン村の人々の言い伝えによりますと、旧暦の4月9日はゾン神様が敵に勝った日でした。これにより、この日に、祖母神社とトゥオン(Thuong)神社でゾン神様と敵による戦いの様子を再現する祭りが行われます。
(テープ)祭りの太鼓の声
ゾン祭りには5つの村が参加します。それはゾン神様の実家があるフーズック(Phu Duc)村、ゾン神様の母方の故郷であるドンビェン(Dong Vien )村、ドンシェン(Dong Xuyen)村及びダンサ(Dang Xa)村です。
(テープ)祭りの音
フードン村のゾン祭りは広い民間劇場と例えられており、昔から伝わるシナリオに従って、数百人単位の演劇が行われます。この演劇はベトナム民族の愛国心、屈服しない意志、独立自由という憧れを表現します。フードン村の故老であるファン・スァン・チン(Phan Xuan Chinh)さんは次のように語っています。
(テープ)
「ベトナムの人々はゾン英雄の恩に報いるため、熱心に祭りに参加しました。その上、彼らは各地方の親戚、友人にこの祭りに参加するよう呼びかけています」
チンさんはこのように語っています
毎年、国内各地からの数万人がこの祭りに参加します。2010年、ゾン祭りはユネスコにより、無形文化遺産として認定されました。そのため、この祭りに参加する観光客数は急増しています。先ほどのファン・スァン・チンさんは次のように語っています。
(テープ)
「この祭りでは「オンヒェウ」と名付けられた参謀長を演じる人物を選出します。その人物はフードン村の人々に敬愛されている人物です。続いて18歳から50歳までの逞しく賢い男性と10歳から13歳の可愛い女の子を選びます。その男性たちは武士という役を、女の子達は敵の将軍役を演じます」
チンさんはこのように語っています
ゾン祭りの独特な美しさは村の共同体の演出によるものです。祭りの中で、村の人々が昔の伝説に沿ったシナリオで、演劇を創造的に行うのです。この祭りを通じて、ベトナムの人々は「民族の団結、国の解放、防衛」という精神が高まることでしょう。