ベトナムのTPP加盟をめぐる問題

TPP=環太平洋経済連携協定の交渉は最終ラウンドを控えていますが、ベトナムはこの協定への加盟により、世界経済への参入や輸出・投資の促進が図られると期待しています。ただ一方でチャンスに恵まれる傍ら、試練にも直面すると見られています。

TPPは名前の通り太平洋の両側に位置する国々を結びつけるものとなります。TPPの交渉に参加してきた国は12カ国となり、その中にはアメリカ、カナダ、メキシコ、オーストラリア、チリがあります。先ごろ、日本もこの交渉に参加してきました。交渉が成功すれば世界第1の貿易圏になります。これまで開催されてきたTPP交渉では知的所有権、検疫衛生、貿易活動の技術的障壁、通信、商取引、サービス、投資などの分野に関し合意が達成されました。また、商取引の平等な競争や輸入税の撤廃が訴えられました。発展途上国であるベトナムはTPPに加盟することで生産、経営、貿易、投資を強化し、経済社会の発展を加速することができると期待されています。中央経済管理院のボ・チ・タイン副院長は次のように語りました。

(テープ)

「TPPは輸出、中でも紡績縫製部門、サービス、投資分野などに大きなチャンスをもたらします。また、ベトナムは大手企業と連携し、大きな市場に進出した上で、資金や先進技術を吸収することができるでしょう。さらに、TPPの加盟はベトナムの経済改革と再構築に合致する一方、ベトナムの刷新事業に拍車をかけると思います。」

ベトナムのTPP加盟をめぐる問題 - ảnh 1
紡績縫製部門はTPPに加盟することで最も大きな利益を得る

TPPに加盟することで最も大きな利益を得るのは紡績縫製部門とみられます。2012年、繊維製品の輸出額は150億ドルを超えました。ちなみにアメリカ向けの繊維製品の輸出は全体の50%を占めていますが、17.5%というかなり高い輸入税率を課されています。それがTPP締結後の税率は0%となります。これはベトナムの紡績縫製部門に加盟諸国への輸出の拡大に際し重要な要素となります。また、投資や加盟諸国の企業との連携の強化も可能となり、経営や裾野産業の発展が図られるとみられます。さらに、TPPは国営企業、民間企業、外資系企業間の平等確保を基礎に明確な経営環境を作ります。それで、ベトナムは自国の輸出高全体の70%を占める加盟諸国の市場に進出すると同時にTTP圏の生産ネットワークに参加することができ、付加価値と利益を向上させると期待されています。

ベトナムのTPP加盟をめぐる問題 - ảnh 2

しかし、TPPはチャンスを与える傍ら、小さくない試練もあります。最も大きな試練は経済改革に関連するものであり、その中には、平等な経営環境づくりに向けての政策、法律の施行や機構の再構築問題が指摘されています。第2はTPPへの企業、組織の認識向上です。企業各社は関税障壁がなくなるTPPの経営環境で競争の圧力を受けざるを得なくなります。VCCI=ベトナム商工会議所・WTOセンターのグエン・トゥ・チャン センター長は次のように話しています。

(テープ)

「企業各社はTPPの加盟により大きな輸出のチャンスに恵まれ、税率が0%になることを喜こんでいますが、こうした優遇を享受するためには様々な条件を満たさなければなりません。製品の原産地表示はその一例です。原材料はどこで、どのように生産され、どこに輸出されるかを証明しなければなりません。これはただ1日や、2日で出来るものではありません。企業は周到に準備すべきだと思います。」

ベトナムは2010年10月からTPP交渉に参加し始めましたが、これまで18ラウンドを経へてきました。TPPへの加盟に際し、そのメリット、デメリットをよく考慮しなければならないとしています。

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