ベトナムのグリーン成長のチャンス
先ごろ、ベトナム首相は関連各省庁に対し、今年6月までに2030年までのベトナムのグリーン成長戦略の枠組みと2050年までのビジョンを作成し、意見を集約するよう指示しました。ベトナムは2020年をめどに、現代的な工業国になるという目標を掲げていますが、今後数年、工業、交通運輸、都市開発などの分野に対する投資への需要が非常に大きいと見られます。この目標を実施するため、ベトナムはグリーン成長戦略を調整し、経済の競争力と効果の向上、気候変動への対応、温室効果ガスの削減を目的にしています。
気候変動が深刻化している現在、多くの国はグリーン成長を発展政策の優先課題に位置づけています。発展途上国であるベトナムは、グリーン成長を進めることで経済構造の移行、雇用創出の促進、住民の所得の引き上げが図られるとしています。UNDP国連開発計画の統計によりますと、2000年に、ベトナムの温室効果ガス排出量には1億5千万トンのCO2が含まれていたことが分かりました。この数字は先進国と比べると、低い水準にありますが、この数年、急速に増加しています。また、天然資源が効果的に活用されず、環境汚染が深刻化しています。
ベトナム天然資源・環境省に属する資源・環境政策戦略研究院のグエン・バン・タイ院長は「今後、生産活動の増加につれ、エネルギーの消費量も増える。それで、グリーン成長は成長モデルの刷新と経済の再構築に合致するものである」と述べ、次のように語りました。
「グリーン成長は必至な動きとなっています。ベトナムはこれを実施しなければなりません。まず、グリーンエコノミーにおける自国の地位を見極めた上で、経済をグリーンエコノミーへと発展させる必要があります。現在、それぞれの国は発展度合や経済、天然資源、環境政策に相応しいアプローチ方法を選択しています。」
タイ院長はこのように語りました。
国連環境計画に盛り込まれたグリーンエコノミーの11の分野を見れば、ベトナムは生物多様性が高く、農業生産は大きな比重を占めているという利点に恵まれています。実際、農業をグリーンエコノミーに発展させることは食糧安全保障の危機への対応シナリオにおけるベトナムの地位を確保するとしています。その他、漁業、水産物は開発されるべき分野で、新しい輸出市場が開拓される必要があります。他方、療養ツアー、エコ観察ツアー、再生エネルギーなどは潜在力に溢れている分野となっています。在ベトナム国連開発計画の持続的発展室のダオ・スアン・ライ室長は「ベトナムはこれらの強みをグリーンエコノミーの発展に活用することができる」との見解を示し、次のように述べました。
「グリーン成長は既存する財源や天然資源の効果的使用に集中します。経費がない限り、グリーン成長を遂げられないことではなく、資源を適切に活用すれば、この成長は遂げられるのです。」
ライ室長はこのように述べました。
ベトナムは2011年から2030年の期間におけるグリーン成長戦略、および2050年までのビジョンを作成しました。戦略は生態系に依存する経済分野の発展に向けての経済構造の再構築、廃棄物の削減を目指す生産テクノロジーの刷新、持続的な消費の促進、環境サービスと再生産業の発展を柱としています。グリーンワールド株式会社のタイ・クァン・チュン社長は「グリーンエコノミーへの企業経営者や国民の認識を向上させる必要がある」と述べ、次のように語りました。
「グリーンエコノミーへと移行するには共同体の意識を芽生えさせると同時に新しい経済モデルの管理方式を教育する必要があります。ブラウンエコノミーつまり、旧式の経済モデルに従事している人材でグリーンエコノミーへ移行することはできません。企業経営者と管理者に対し、グリーンエコノミーに関する知識教育を行わなければなりません。」
チュン社長はこのように語りました。