2015年、ベトナムは複数の自由貿易協定を交渉・締結しました。これは各企業の世界市場への進出に有利な条件を作り出していますが、企業はリスクを管理するために、投資先・輸出先に関する理解を深める必要があると指摘されています。これは差し迫った問題とみられています。
この数年間、ベトナムの輸出活動は質と量の両面で迅速に発展しています。しかし、多くの企業が輸出先での税関、関税、技術障壁など市場に関する情報不足問題で損害を受けたことも事実です。
先ごろハノイで行われた各国駐在貿易参事官による会議で、南部アンザン省のフンラム株式会社のファム・ホアン・ラム会長は「昨年、アフリカのガーナ共和国にコメを輸出した際にだまされ、2トン分のコメ およそ100万ドル相当の損失があった」という苦い経験を明らかにしました。ラム会長は「情報不足が主な原因だ」とし、次のように述べています。
(テープ)
「商工省は市場開発の面で企業を積極的に支援していますが、我が社は、今後、リスクを減らすために、各国駐在通商代表部を通じて、情報を収集する方針を打ち出しています。また、各国駐在通商代表部に対し、今後も企業との連携を強化し、アフリカ市場の開発に力を入れるよう提案します。」
実際、市場情報に関する企業の需要が高まっています。こうした中、各国駐在通商代表部は企業への情報提供を強化する必要があるとの意見が相次いでいます。これに関し、南部ティエンザン省人民委員会のチャン・タイン・ドゥク副委員長は次のように提案しています。
(テープ)
「1カ国に対して2~3人ぐらいの貿易参事官が派遣されていますが、その数は少なすぎると思います。特に、アメリカのように大きな市場の場合、10人の貿易参事官を派遣しても足りないといえます。従って、貿易参事官育成事業が重要な課題となっています。」
エコノミストらによりますと、輸出企業にとって、税関、関税、貿易障壁の撤廃、最恵国待遇制度、輸出先の法律・規定などに関する情報は基本的な要求だということです。これに関し、グエン・チュン・ズン日本駐在貿易参事官は「今後、情報に関する企業の需要に応えるために取り組む」と確約し、次のように語りました。
(テープ)
「各国駐在通商代表は市場研究、外国の相手との交渉、貿易振興などの面で力をさらに入れていく必要があると思います。つまり、新しい方法を適用しなければなりません。」
一方、貿易参事官らは、「各国駐在通商代表部への各企業の依存度は高すぎる」と指摘し、各企業に対し、輸出先・投資先に関する研究を強化するよう提案しています。在アメリカ通商代表部のダオ・チャン・ニャン参事官は次のように語りました。
(テープ)
「各国駐在通商代表部は常に企業の要求に答えるために努力していますが、各企業は自分たち独自の力を入れる必要もあります。どうしても解決できない問題だけを通商代表部に頼む方がいいと思います。通商代表部も忙しいからです。」
現在、世界市場はベトナム企業に開放されていますが、それぞれの市場はそれぞれの特徴があります。こうした中、企業は、ある市場に進出する前に、その市場を調査・研究するなどして準備作業を周到に行う必要があるということが指摘されています。