国の経済が様々な困難に直面している現在、投資振興とPPP=官民連携方式によるプロジェクトの展開は重要な意義を持つものとされています。PPP方式は、インフラ整備事業への民間セクターの投資の誘致や、国家予算の負担分軽減などに寄与しています。また、PPPプロジェクトを展開する投資家らに有利な条件を作り出すことは国の経済発展の促進にも貢献すると評されています。
PPP方式で建設されるザウゼイ高速道路の図面
2010年、グエン・タン・ズン首相は、PPP方式の試験的実施に関する決定書71号を発行しましたが、これはPPPに関するベトナム初の法的基礎です。従って、PPPプロジェクトに参加する投資家や、企業、請負業者は税金や、公的サービス、外貨購入、融資などの面で、優遇措置の対象となります。この決定書が発行されて以来この4年間、多くのPPPプロジェクトが実施され、民間経済セクターから多額の投資を集めてきました。
2018年に完了する予定の南部ドンナイ省と中南部のファンティエット町を結ぶザウゼイ(Dau Giay)高速道路建設プロジェクトはPPP方式の効果を示すものと見られています。投資総額7億5700万ドルで建設される長さ100キロのこの道路により、ホーチミン市から中南部各省への距離がはるかに短縮され、日増しに交通の需要が満たされると評されています。
グエン・ゴック・ドン交通運輸次官は「これは高速道路建設のための初のPPPプロジェクトである」と明らかにし、次のように語りました。
(テープ)
「入札は2014年初めから始まりました。PPP国際入札に関する規定や、世界銀行の規定に従って、入札プロセス全体が厳格に管理されました。立ち退き作業も迅速に行われました。これにより、リスクが削減されました。」
政府は、このプロジェクトの立ち退き作業を担当しました。その費用は1億700万ドルに上っています。また、政府は、この高速道路の建設、運営、保持に関する規定を発行しました。このプロジェクトの第1投資家である国営企業ビテッキスコ(Bitexco)社のブー・クアン・ホイ取締役会長は「このプロジェクトはPPP方式の今後の発展に有利な前提を作り出すだけでなく、国のインフラ整備事業への民間セクターの投資を誘致することに寄与する」と評価しました。
一方、ホーチミン市の金融投資公社のブー・クアン・ラム副社長は、毎年ホーチミン市がインフラ整備のために20兆ドン(約1140億円)を必要とするものの市の予算がその需要の30%ないし50%しか満たせないことを取り上げ、「PPP方式はこの問題解決に貢献する」との見方を示し、次のように語りました。
(テープ)
「実際から見れば、各地方の予算はインフラ整備需要を満たすことができないといえます。このため、全社会の投資をアピールするための政策を実施する必要があります。現在、我が社はその政策を実施しています。でも、一番重要なことは、これに関する法的枠組の完備です。現在、計画投資省はPPPに関する法的枠組作りを進めていますが、これは投資家に安心感をもたらします」
計画投資省によりますと、インフラ整備のための資金需要が日増しに高まっています。2011~2015年期に480兆ドン(約2兆7000億円)が必要とされていますが、2016~2020年期のその金額は730兆ドン(約4兆1500億円)に増加する見通しだということです。
こうした中、PPP方式はその問題の解決策の1つと見られています。そして、ベトナム政府は、今後、この方式を進めていく方針を打ち出しています。