この数年、民間経済セクターはGDP=国内総生産に大きな比重を占めており、国内経済の発展に重要な役割を果たしています。こうした事情を踏まえ、政府は民間経済セクターの発展を重要な課題として位置づけています。
2014年末現在、全国で新設された企業は7万4842社で、投資総額は422兆ドン、約2兆4千億円となっています。一方、国内経済に対する国営企業と民間企業の貢献度をみると、2006年から2010年期に、国営企業は投資総額の45%を占めましたが、GDPに対する貢献度は28%にとどまりました。こうした中、民間企業は投資総額の28%だけを占めたものの、GDPに対する貢献度は46%にのぼりました。また、現在、民間経済セクターはGDPの3分の2以上、工業生産の4分の3以上を占め、多くの労働者に雇用を創出しています。ただ、民間経済セクターには中小企業が96%を占め、大手企業の姿はありません。世界経済への参入が進められている背景の中で、中小企業は世界の生産ラインになかなか参加できません。それで、中小企業の発展は政府の重要な任務の1つと見做されています。計画投資省のブイ・クアン・ビン大臣は次のように語りました。
(テープ)
「民間経済セクター、中でも中小企業が未発達していることから、裾野産業が発展していません。ベトナムに進出した外国の投資家はその母国、または他国から原材料や入力部品を輸入せざるを得ないので、製品の価格が引き下げられません。こうした背景の中で、ベトナムの民間経済セクターを発展させ、中でも中小企業の数と規模を増やして、初めて数々の雇用を創出し、多くの製品を生み出し、他の経済への依存度を低下させるのです。」
ビン大臣はこのように語りました。
この数年、ベトナムに対する外国投資額や輸出額は連続して増加していますが、輸出に対する民間経済セクターの貢献度は10%に過ぎません。ベトナムに投資を行なっている外国企業のほとんどが原材料の輸入・輸出を行なっています。一方、国内企業は主に労働者の提供を行なっていることから、付加価値は低いです。こうした事情を前に、ベトナム政府は民間経済セクターの長期的な発展戦略を作成し、外国企業の要求に応えられるような中・大手企業の建設や小企業の支援を狙っています。ベトナム商工会議所のブ・ティエン・ロック会頭は次のように述べました。
(テープ)
「各企業は長期的な経営戦略を作成しなければなりません。一方で、改革の実施や法的規制の適用に際し、安全な経営環境の確保や企業の権利、利益に配慮する必要があります。」
世界経済への参入が進められている現在、ベトナム経済の未来はグローバル・バリュー・チェーンの推進や外国直接投資の活性化によるところが大きいとみられます。こうした中で、ベトナム政府が民間経済セクターの発展を進めることは正しい方向であり、ベトナム生産業の競争力や独立性の向上に原動力をつけるとされています。こうして、初めて着実な経済発展を遂げるでしょう。