農産物の輸出が困難な状況にある一方で、水産物の輸出は回復の兆しを見せています。海老やチャという魚などの主力品目は水産物の輸出が好調になり、水産物の輸出額の増加に大きく貢献しています。
今年は水産物の輸出部門にとって困難な一年と予測されました。海老とチャ魚の輸出は自然災害やいくつかの輸出先が適用している反ダンピング関税、技術的障壁などにより多くのリスクを受けてきました。しかし、水産物の輸出は困難な時期を経て、成長を遂げてきました。年初から10月末まで水産物の輸出額は55億ドルに達し、昨年同期と比べ、7.3%増となりました。その中で、アメリカ、EU=欧州連合、日本向けの海老の輸出は大きな伸びを見せ、昨年同期比、30%増にあたる24億ドルにのぼっています。VASEP=ベトナム水産物加工輸出協会のチュオン・ディン・ホア事務局長は次のように語りました。
(テープ)
「今後、欧州向けの輸出は増加の一途を辿ると思います。というのは、ほかの輸出国の供給源が減少するからです。また、アメリカ市場に対して、供給ラインの維持・強化に取り組みます。」
現在、アメリカはベトナム水産物の最大の輸出先の座にあり、輸出額全体の21%を占めています。年初からの10ヶ月で、同市場向けの海老の輸出額は10億ドルを超え、昨年同期と比べ、およそ15%増となりました。去る9月10日、アメリカ商務省はベトナムの海老がアメリカのダンピングで販売されなかったことを認め、ベトナム海老輸出企業33社に対し、税率0に適用すると決定しました。これにより、今後、アメリカ向けの海老の輸出が増加していくと予測され、今年全体の海老の輸出額はおよそ2億ドルに達すると見込まれています。
一方、チャ魚に関しては世界市場の需要が停滞していることでチャ魚の輸出が伸びを見せませんでしたが、この10ヶ月の輸出額は14億3千万ドルに達しました。チャ魚の輸出を促進するため、水産部門は新しい市場の開拓に力を入れる一方、養殖地の再計画にも取り組んでいます。農業農村開発省のブイ・バン・タム次官は「水産物の開発と養殖は農業再構築計画の5つの柱の一つである」と明らかにし、次のように語りました。
(テープ)
「水産物総局と水利総局は、各地方と協力し、水産物養殖地、中でも南部メコンデルタの海老とチャ魚養殖地の再計画を進める必要があります。また、水利システムの発展への投資を強化し、水産物養殖地の拡大に力を尽くさなければなりません。」
先頃、ベトナム水産物加工輸出協会は政府にチャ魚生産消費再構築を目指す措置を提示しました。また、2014年からEU向けに一つの代理店による輸出を展開する予定です。この代理店はEU加盟28カ国に向けの冷凍チャ魚の輸送から、保管、電子商取引での競売、顧客への配送、会計まで担当することになります。
商工省によりますと、欧州諸国やアメリカの経済が回復し、また、技術的障壁などの問題が解決されれば、今年の水産物輸出額全体は65億ドルに達するとしています。