先ごろ、ベトナムで2番目となる通信衛星「ビナサット2(VINASAT-2)」が東経131.8度の静止軌道に打ち上げられました。打ち上げ地点は、「ビナサット1」と同様に南米ギアナの宇宙基地でした。「ビナサット2」は「ビナサット1」より回線容量と通信可能範囲が大きく、国の経済社会発展に効果的に貢献すると期待されています。
「ビナサット2」に関するプロジェクトは首相により2009年12月に承認されました。このプロジェクトの総事業費は2億6000万ドルから2億8000万ドルとなりました。ベトナム郵政通信グループは投資家を務め、アメリカのロッキード・マーティン社が製造と打ち上げを請け負いました。運用試験が行われた後、7月にベトナム側に引き渡される計画です。
同衛星の通信可能範囲はベトナムをはじめ、ラオス、カンボジア、タイ、及びミャンマーの一部となります。衛星の設計上の寿命は15年ですが、16年以上の利用が可能と見込まれています。ベトナム郵政通信グループによりますと、「ビナサット1」が打ち上げられる前に、外国の通信衛星を借用し、年平均1千万ドルから1500万ドルが掛かりました。今後、各省庁の発展に伴い、通信衛星の借用に使われる経費が大きく増加すると予測されています。そのため、ベトナムは通信衛星の打ち上げにより、情報通信分野を主体的に開発するだけでなく、国家予算や通信、情報技術を営む国内企業の経費の節約が図られるようになりました。「ビナサット1」と「ビナサット2」はいずれもアメリカのロッキード・マーティン社の最先端の放送通信衛星システムA2100バスを適用したものですが、「ビナサット2」の回線容量と通信可能範囲は「ビナサット1」より大きいことから、その経済的、社会的効果ももっと大きいと予測されています。また、東経131・8の「ビナサット2」は132の「ビナサット1」に近くあるため、アンテナを調整しなくても、両通信衛星からの信号を受信できます。「ビナサット2」は情報連絡システムの安全保障を確保するだけでなく、通信サービス、衛星放送、衛星テレビへの需要にも応えるものとなっています。グエン・タン・ズン首相は「ビナサット2」の打ち上げを中継するテレビ放送に出演し、次のように語っています。(テープ)
「『ビナサット1』とともに、『ビナサット2』は国家の情報通信の質的向上、僻地や、国境地域、離島への情報の提供に寄与し、台風・洪水予防対策、自然災害による被害の軽減に役立ちます。『ビナサット2』の打ち上げはベトナムを情報、通信大国へと発展させる計画の実施段取りにおける重要な一歩となりました。」
ズン首相はこのように語りました。
一方、ベトナム郵政通信グループのファン・ホアン・ドック副社長は「『ビナサット1』と『ビナサット2』をベトナム郵政通信分野の高速道路にたとえ、次のように語りました。(テープ) Duc
「『ビナサット2』の打ち上げは通信分野のインフラ整備の強化に関する国家戦略の実施に向け、また、国内市場の衛星利用への需要に応えるためのものです。『ビナサット2』はベトナムの情報技術分野の高まっている地位を示しました。」
ドック副社長はこのように語りました。
ベトナムは3千キロあまりにおよぶ海岸線を持ち、海洋経済が戦略的経済部門となりつつあります。「ビナサット2」の打ち上げは2020年までの海洋経済発展戦略の一環となりました。この通信衛星は漁に出る漁船に正確で迅速な情報連絡サービスを提供すると共に、自然災害に遭った船舶の救難や石油ガス、天然資源の探査・開発に寄与します。
「ビナサット2」の経営効果に関し、この通信衛星の寿命は15年となりますが、運用から10年後、資金の回収が図られ、次の5年に、大利益が収められるとしています。この通信衛星の経営を委託されたベトナム郵政通信グループ傘下の国際通信会社のホ・コン・ラム副社長は次のように述べました。(テープ) Lam
「まず、国家、国内の顧客に奉仕します。また、最高の経営効果を上げるよう、近隣諸国と連携し、顧客の拡大を目指します。」
ラム副社長はこのように述べました。
これまで、通信、インターネット、放送、石油ガス、銀行分野などに携わる国内外の多くの企業はベトナム郵政通信グループと「ビナサット2」の利用に関し、交渉を行ってきました。「ビナサット2」は大きな経済的社会的効果をもたらすだけでなく、国の国防、安全保障の強化にも寄与すると評されています。