借地代や関税納付の猶予や減免などの措置が講じられている一方、政府は経済社会回復・発展を支えるための多くの金融・財政政策を作成しつつあります。

これまで、新型コロナへの対応、被害の克服、経済社会回復・発展を目指し、金融・財政政策などを柔軟に運営してきました。一方、国会は2020年～2025年期の経済社会発展、財政・予算、公的債務の借入と返済、公共投資、経済再構築などに関する決議を採択しました。また、第15期国会第2回会議で国会は政府に対し、「安全かつ柔軟な対応、効果的な疫病抑制」という方針に沿った新型コロナ対応総合計画や経済回復・発展総合計画の作成、展開を委託しました。さらに、この２つの計画の実施に必要な金融・財政政策の作成をも要請しました。

カン・バン・ルック氏

経済専門家のカン・バン・ルック氏によりますと、今後、金融・財政政策の作成に際し、総需要と総供給の両方への影響に配慮する必要があります。また、効果的で実施可能な政策を迅速に作成し、政策間の適切な調整が図られなければなりません。さらに、金融政策について、金融機関の貸出金利が0.5％から1％削減されるため、一連の支援措置を打ち出す必要があるとしています。ルック氏の話を聞いてみましょう。

（テープ）           

「インフラに関し、重点的なプロジェクトや建設工事におよそ150兆ドンの追加投資を提案します。これにより、各種の財政支援パッケージは278兆ドンにのぼり、2021年のGDPの3.41％に相当します。」

現在、経済的社会的困難は経済・金融危機ではなく、新型コロナ・パンデミックによるものであることから、医療面での専門的なソリューションは決定的な要素であり、マクロ経済政策は支援ツールとなっています。短期的に、財政支援パッケージは医療、社会保障、企業の支援を優先対象にする必要があるとの意見が出されました。また、長期的には、経済回復の支援を目的に財政支援パッケージは直接的な支援から間接的な支援に、金融的サポートから体制面でのサポートへとシフトし、インベンション、イノベーション、デジタル転換、グリーン成長の推進に弾みをつけなければならないとしています。パリの中心部に位置するIPAG ビジネス・スクールの研究担当者であるグエン・ドック・クオン教授は「金融・財政政策の傍ら、インベンション、イノベーション生態系を開発し、労働生産性の向上と経済社会回復・発展を推進することが狙いである」との見解を示し、次のように語りました。

（テープ）

「国家、政府の支援は人材育成に集中します。また、企業への資金補助を行い、５つの大きな試練への対応を支援する必要があると思います。それらは経営モデルを変更すること、先進技術やビッグデータへの投資を強化し、消費者への理解を深めた上で、アプローチすること、デジタル転換、デジタルサービスを推進すること、そして人的資源に関する試練などです。」

ブイ・クアン・トゥアン所長

 デジタル転換を通じての経済回復と持続可能な開発についてベトナム経済研究所のブイ・クアン・トゥアン所長は「ベトナムのデジタル経済を開発するための絶好の機会が来た。デジタル転換やデジタル経済のためのエコシステムの開発を推進する必要がある」と強調し、次のように話しました。

（テープ）

「体制完備やリソースの活用を目指し、さらなる投資を行わなければなりません。その中でインベンション・イノベーションと科学者向けの特別政策を試験的に実施する可能性があると思います。我々の周りで起きている迅速な変化に対応するため、変更を余儀なくされています。そうしないと、存続と発展が図られないでしょう。」

マクロ経済の安定化や経済の主要なバランスの確保は必須で重要な課題となっています。また、政策の活用に際し、経済の安全性を確保しなければなりません。ベトナムはこれらを踏まえ、発展目標の達成に全力を尽くしています。