現在、ベトナムはアメリカとのTPP=環太平洋経済連携協定交渉の最終段階に入っていますが、EU=欧州連合とFTA=自由貿易協定の交渉にも踏み切りました。これらの協定への加盟は試練となるものの、輸出の強化にチャンスをもたらすとされています。
アメリカとのTPPとEUとのFTAへの加盟に際し公約を実施することで、ベトナムの革靴生産企業は0%の税率を適用されることになります。これはベトナムの輸出用革靴生産部門の生産能力と競争力の向上に寄与するとみられます。また、TPPとFTAへの参加により、ベトナムの革靴生産企業は先進技術の導入、世界的知名度を博したブランド品生産企業との接触が図られるということです。
現在、ベトナムで、輸出用革靴生産企業は500社あまりで、年間生産高は4億足から5億足に達しています。昨年、革靴とバッグの輸出額は103億ドルを超えましたが、革靴の輸出額は84億ドルを突破しました。ベトナムの革靴生産部門は中国に次いで第2位に立っていますが、これまで、加工に集中し、原料は輸入に依存してきたことから競争力は高まっていません。これは革靴部門にとって大きな試練となっています。というのは、TPPへ加盟してから、優遇税制を享受するためには、革靴の原料の現地調達率に関する規定を遵守しなければならないからです。ミンミンジエウ革靴会社のレ・クアン・ゾアン社長は次のように語りました。
(テープ)
「革靴の原料源は極めて重要です。国家に対し、原料生産企業が発展を遂げ、品質と価格の面で外国企業と競争できるように支援政策を取ることを希望します。これにより、国内の履物生産と輸出が促進されることでしょう。」
ベトナムの革靴生産部門は持続的な発展を遂げるため、実施すべき案件は山積しています。その中で、原料不足の解決を目指し、原料生産地域を設立する必要があります。現在、全国では革靴部門用の原料と機械・設備の生産に従事している企業は119社で、そのうち、72社は民間株式会社、44社は外資系企業です。原料生産企業は貿易振興活動を通じて、裾野産業と革靴・バッグ生産企業との連携を強化するよう提案しました。さきほどのミンミンジエウ革靴会社のレ・クアン・ゾアン社長は次のような意見を述べました。「政府、商工省、ハノイ市とホーチミン市人民委員会、北部、そして南部のいくつかの地方はベトナムならではの革靴見本市を開催する必要があります。これを通じて、原料生産業者と輸出用革靴生産業者は接触することができます。また、革靴生産企業は国内の原料を使用するよう要請します。こうして初めて、現地調達率を向上させ、輸出を促進するのです。」
ゾアン社長はこのように述べました。
革靴生産部門は浮上している問題をよく把握した上で、解決策を打ち出しました。ベトナム革靴協会のチャン・タイン・クアン氏は次のように話しました。
(テープ)
「現在、多くの外国企業がベトナムの提携先を探しています。中国は加工を中止しましたので、ベトナム市場にシフトしています。この数年、ベトナム企業の製品の品質はかなり改善され、マーケティング能力も向上してきました。」
革靴部門は年初から3年間でGSP=一般特恵関税制度が適用されます。これに基づき、ベトナム産の履物に対する税率は13~14%から3.5~4%に引き下げられました。こうした前向きな動きにより、今年のベトナムの革靴とバッグ輸出額は少なくとも120億ドルに達すると見込まれています。