ベトナムのコメの輸出量は世界第3位にありながら、その価値は高くありません。世界経済への参入が進められている背景の中で、多くのコメ輸出企業は高品質のコメの輸出を計画して、大市場への進出を狙っています。
この数年、栄養価値が高い無農薬の有機米の輸出はベトナムの輸出用のコメに占める高品質の米の比重の向上に寄与してきました。現在、高品質のコメの輸出量はコメ輸出量全体の27%を占めています。今後、高品質のコメの輸出は国際市場におけるベトナムのコメのブランドを確立するとともに従来からの古いコメ生産方式の更新に弾みをつけるとみられています。
ほとんどのコメ輸出企業は高品質のコメの価格は中・低品質のコメを大きく上回り、輸出額の増加に大きく貢献しているとの見解を明らかにしました。一例を挙げると、高品質のコメの輸出価格は1トンにあたりおよそ700ドルですが、普通のコメ価格は370ドルに過ぎません。こうした事情を踏まえて、コメ輸出企業ロクチョイ社は高品質のコメの輸出にシフトしました。同社のファム・タイン・トゥ副社長は次のように語りました。
(テープ)
「当社のコメ生産モデルは農民との連携によるものです。私たちは農民たちに農業用物資を供給する一方、農民とともに稲作を行い、コメ購入契約を締結します。また、当社はアメリカや香港、シンガポール、EU加盟諸国への輸出を目指しています。」
農業分野の専門家によりますと、国際市場で高品質のコメへの需要は日増しに高まっていますが、ベトナム企業の供給能力に制限があります。また、品質と商標の知名度が高いタイのコメとの競争を余儀なくされています。それにも関わらず、市場の需要を見極めた上で、高品質のコメの生産と輸出を促進すればベトナムのコメ生産部門は高い利益を得るだけでなく、商標づくりや持続的な発展が図られるとしています。これを実現させるためには生産から消費までの工程を統一化させ、新しい市場の開拓に力を入れる必要があります。農業農村開発政策・戦略研究院院長のグエン・ド・アイン・トゥアン博士によりますと、高品質のコメの生産と商標づくりは重要な課題であるが、苗から灌漑システム、耕作方式までの刷新には時間がかかります。トゥアン博士は次のような見解を述べています。
(テープ)
「高品質のコメの生産はかなり時間がかかります。農業部門は低級な市場から高級な市場へのシフトに向けての生産構造の再構築を計画しています。現時点で、競争相手が私たちに追いついたからです。」
一方、農業農村開発省に属する農・林・水産物加工・塩生産局のレ・バン・バイン局長は「輸出を促進するためには、高品質のコメに商標をつけなければならない」と明らかにし、次のように語りました。
(テープ)
「ベトナムの稲の苗は豊かですが、品質が良く、商標を持って、また、農薬の残留濃度が基準値以下である必要があります。高品質のコメ生産を順調に進めるため、企業は原料生産地域を開発しなければなりません。さらに、いい品種を選ぶ必要があります。こうして初めて米の商標づくりは成功するでしょう。」
2020年までのコメ商標づくり計画と2030年までのビジョンには2030年までに香り米と高品質のコメはコメの輸出総量のおよそ30%にするという目標が設定されました。しかし、アメリカや日本、オーストラリアなどへの輸出の促進を目指して、企業と農民は品種改良、商標づくり、貿易振興にさらなる力を入れなければなりません。これはベトナムのコメの品質と価値の向上に必要な措置であるとしています。