(VOVWORLD) -VOVが選んだ2023年の国際10大ニュースをまとめてお伝えします。
1. 世界各地で戦争や衝突が勃発
(写真:ロイター) |
10月7日、パレスチナ暫定自治区のガザ地区を実効支配するイスラム組織ハマスが突如、イスラエルへの攻撃を開始し、700人以上が死亡、イスラエル人およそ100人が逮捕されました。これに応じて、イスラエル政府はハマスの完全破壊を目的として、ガザ地区を攻撃する1973年以来最大規模の軍事作戦を開始しました。ハマスとイスラエルの紛争は今も激しさを増しており、双方で2万人以上が死亡し、深刻な人道危機を引き起こしています。ロシアとウクライナの紛争は、激しさが衰えることなく2年目に突入しました。これまでのところ、両国が紛争終結に向けた交渉のテーブルに着くことを示す外交的シグナルは出ていません。そのほか、ミャンマー、イエメンなどでも紛争が発生していること、朝鮮民主主義人民共和国が連続してミサイル実験を行うこと、多くの国が軍事投資を強化していることなどは、世界情勢の不安定さを示しています。これらの紛争は世界の安全保障だけでなく、世界各国の政治や経済にマイナス影響を与えています。
2. 世界経済が低迷
(写真:ロイター) |
新型コロナウイルス感染症がもたらす悪影響、多くの地域で相次ぐ紛争と政情不安が多くの地域で発生していることにより、2023年は、世界経済が引き続き低迷しました。貿易活動は減少し、インフレはエスカレートし、多くの国の公的債務は増加しました。WB=世界銀行は2023年の世界の経済成長率が 2.1% を超えることはないと予測しました。また、2024 年の世界経済成長率がさらに低迷することも予想されています。
3. 自然災害が日増しに深刻化
(写真:ロイター) |
2023年にトルコ、シリア、中国で発生した地震により、5万人以上が死亡したほか、リビアで発生した洪水によりおよそ1万人が死亡しました。そして、ハワイの山火事、南アジアの干ばつなどにより、2023年は自然災害が多発した年であり、史上最も暑い年となりました。気候変動が非常に危険なものとなり、すべての国に影響を及ぼしています。
4. 多国間組織の拡大:発展途上諸国の役割が増大
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9月9日と10日の両日、インドで開催されたG20サミットでは、AU=アフリカ連合を常任メンバーとして迎えることで合意しました。一方、BRICSは8月に、アルゼンチン、エジプト、エチオピア、イラン、サウジアラビア、アラブ首長国連邦の6カ国がBRICSに新規加盟することを発表しました。多国間組織の拡大は、多国間主義の促進と経済秩序の確立における途上国と新興国の役割が増大していることを示す重要な動きとみなされています。
5. 米中首脳会議:戦略的競争のけん制に努力
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11月15日、アメリカのジョー・バイデン大統領と中国の習近平国家主席は緊張を緩和し、気候変動に対処するための緊密な協力を模索するために首脳会談を開催しました。これは台湾問題や米国による中国熱気球撃墜など米中関係の緊張が高まる中、アメリカ大統領と中国の国家主席による約1年ぶりの直接会談となりました。この会談は一定の改善が達成されたものの、あらゆる分野における両国間の競争が今後も引き続き激しくなることが予測されています。
6. アフリカ諸国で、クーデーターが多発
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わずか 1 年の間に、ニジェールとガボンで軍主導の 2 つのクーデターが発生し、政治制度の弱体化、アフリカ大陸の民主主義、経済に悪影響を及ぼし、テロの危険性が高まっています。政治的不安はこの地域での貧困状態と社会不平等を悪化させています。アフリカは今後も紛争、貧困、安全保障などに関する課題に直面する見通しです。
7. AIが著しく発展する:チャンスと危機
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2023 年、チャットGPT の最初の「ショット」の後、Google Bard、Microsoft Bing、Whisper、Codex、Midjourney、DALL-E などの一連のAI=人工知能のアプリケーションが世界の生活に前例のない影響を生み出しました。多くの政府が AI の制御を合法化する取り組みを行っていますが、AI の急速な発展は安全保障への危機やオンライン詐欺など人々や社会にマイナス影響を与えることが懸念されています。AI が人間の知能と同じくらい高度であるか、人間よりも知能が高いのではないかという懸念があります。 AI の発展を人類の進歩に貢献させながらも、このテクノロジーによる悪影響をどのように制限するかは、世界最大の課題の 1 つとなっています。
8. COP 28が 「化石燃料からの脱却」に関する合意を達成
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2023 年 12 月 13 日、アラブ首長国連邦のドバイで開催されたCOP28=気候変動枠組条約第28回締約国会議はパリ協定開始後初めて、その進捗評価の仕組み「グローバルストックテイク」の成果が、合意文書としてまとめられました。昨年は合意にいたらなかった「すべての化石燃料の段階的廃止」が今回も交渉の大きな争点となり、結果的に「化石燃料からの脱却」という形で、初めてすべての化石燃料への言及で合意することができました。COP28に参加した世界各国の200人の代表の賛成を得ましたが、今後はこの合意書を効果的にするためどうすればいいかということが課題です。
9. インドが宇宙における世界的な超大国の一に
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2023 年 8 月 23 日、インドの宇宙船が初めて月の南極への着陸に成功し、インドは米国、中国、ソ連に次いで月に着陸した 4 番目の国となりました。 また、インドは謎に満ちた月の南極を訪れた最初の国となりました。その直後の9月2日、インドは太陽を研究する探査機を送るためのロケットを打ち上げました。これらの成功により、インドは宇宙における世界的な超大国の一つとなりました。
10. 新型コロナウイルス感染症が正式に収束:負の影響と教訓
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5月5日、WHO=世界保健機関は新型コロナウイルス感染症による世界的非常事態の終結を宣言しました。これは、発生から3年以上を経て、過去100年以上で最大の世界的な健康危機を終結させる公式のマイルストーンとなりました。パンデミックが発生して以来、7億6500万人以上の新型コロナウイルス感染者が確認され、およそ700万人が死亡しています。新型コロナウイルス感染症の悲しい結果により、人類の超大流行への対応能力、および社会、経済などの面における影響への対処能力について大きな疑問が投げかけられています。