クリミア半島併合から1年を迎える

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クリミア半島併合から1年を祝うクリミア国民(写真:AFP)

ロシアがウクライナ南部クリミア半島併合の前提とした「住民投票」から一年となる16日、中心都市シンフェロポリやロシア海軍黒海艦隊司令部のあるセバストポリでは、親ロ派指導者らを集めた記念式典やコンサートなどが行われました。

親ロ派行政府トップのアクショーノフ氏はクリミア共和国議会前での式典で「ロシアを選択した。制裁は意味がない」と、あらためて欧米への対決姿勢を示しました。

インフラ整備、経済、国防など全面的発展

ロシアが併合したウクライナ南部クリミア半島ではロシアの通貨ルーブルが唯一の公式通貨となり、ウクライナ通貨フリブニャは「外貨」として扱われることになりました。これによりロシアの実効支配が一層固まりました。また、2014年4月に、クリミアでの教育制度改革はロシアの教育基準に従って行なわれました。クリミア国民の年金と賃金も上昇しました。クリミアにおける失業率も低下しつつあります。ロシアは、クリミアで11の娯楽施設を建設する計画です。さらに、ロシアは、クリミア産業のインフラ整備と再建に投資を行なっています。

ソ連時代に軍人・軍属15万人を擁したロシア黒海艦隊は、ソ連崩壊でウクライナの艦隊と分割され約1万2000人に減少しました。艦船や施設の老朽化が進行しました。プーチン大統領は強制的に編入したクリミアの軍備増強を指示しました。ロシア軍は南部軍管区に組み込んだクリミアに7兵団と8部隊を新設し、昨年11月にスホイ30戦闘機や対空ミサイル「S300」を配備しました。クリミアでは約1万6000人のウクライナ軍人・軍属がロシア軍に転籍しました。4月にはロシア軍の新規徴兵が始まります。

米国や欧州からの批難

ロシアがウクライナ南部のクリミアを併合したことについて、アメリカ国務省のサキ報道官は16日の記者会見で「ロシアは軍を使って力ずくでクリミアを占領 したうえ、自分たちの行為を正当化しようと、意味のない違法な住民投票を企てた」と非難し、クリミア併合は認められないという立場を改めて強調しました。
一方、ドイツのメルケル首相はウクライナのポロシェンコ大統領との会談後の記者会見で、ロシアによるクリミア併合は違法だと改めて主張しました。そのうえでメルケル首相はウクライナ東部で先月、政府軍と親ロシア派の停戦合意が発効したあとも発砲が完全には収まっておらず、国際機関が重火器の撤収状況などを十分に確認できない状態が続いているとして、親ロシア派の対応を非難しました。
一方で、ロシアに対する経済制裁については「新たな状況が発生すれば検討する」として、現段階での制裁の強化には慎重な姿勢を示しました。
また、ポロシェンコ大統領はロシアによるクリミアの併合は「戦後の安全保障体制を否定するもので、ウクライナやドイツだけではなく国際的な問題だ」と指摘し、EU=欧州連合に対し制裁の強化を求める考えを示しました。

併合1年を迎えるクリミア半島は変貌を見せています。アメリカと欧州はクリミア併合を認めていないものの、この現実を変えることは難しいでしょう。

 

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