人類が大切にしている価値の中で、人権の価値は他の価値のゴールであり、他の価値を促進する原動力でもあります。人権擁護の推進が世界の必須の動向となっている中で、人権教育と啓発はグローバルな課題となっています。ベトナムもその動きに沿って、人権教育と啓発の推進に力を入れています。

国連の「人権教育のための世界計画」では、人権教育について「知識の共有、技術の伝達、 および態度の形成を通じ、人権という普遍的文化を構築するために行う」ものとし、その要素として①人権および人権保護の仕組みを学び、日常生活で用いる技術を身に付けること、 ②価値を発展させ、人権擁護の姿勢および行動を強化すること、③人権を保護し促進する行動をとることが、含まれるものとしています。

ベトナムでは、党と国家は人権教育の強化を目指す多くの政策と主張を打ち出し、これらの政策と主張の効果的な展開に尽力しています。具体的には、人権の研究や、女性の権利保護、子どもの権利保護などにあたる専門機関の設立、人権教育に関する人材の育成、女性と子どもの権利保護に関する国家行動計画の立案などが進められてきました。

実際、人権教育はすべてのレベルにおいて様々な形で行われています。それぞれの対象者にふさわしい人権教育に関する資料が作成され、普及されてきました。中でも、人権教育は学校のカリキュラムに取り入れられ、授業はもちろん、課外活動でも展開されています。今後も、これまでの取組の成果と課題を明らかにしながら、高度情報化の進展、グローバル化による多様な文化や価値観との共生なども踏まえて人権教育を推進するとしています。

特に、「2017年～2021年期の国家教育プログラムへの人権に関する事項の導入プロジェクト」が実施され、人権教育を大いに推進してきたと評されています。2017年9月に承認されたこのプロジェクトは「新しい状況下での人権擁護」に関する党中央書記局の指示を実施し、人権擁護に関する2013年憲法の内容を具体化させることが狙いです。プロジェクトにより、人権教育は「わかりやすい・覚えやすい・実践しやすい」という方針で、小学校から大学まで一段と強化されています。また、マスメディアは人権、および人権教育ついて頻繁に報道しており、人権に対する国民の認識向上に貢献しています。

ベトナムの党と国家は、人権教育は、『人民の、人民による、人民のため』のベトナム社会主義法治国家の構築に寄与するとし、今後も人権教育への投資をさらに強化する方針です。