グエン・タン・ズン首相の招きに応え、25日、EC=欧州委員会のジョゼ・マヌエル・バローゾ委員長はベトナム公式訪問を開始しました。バローゾ氏がEC委員長としてベトナムを訪問するのは今回で2回目です。この訪問はベトナムとEU=欧州連合との関係が日増しに発展していることを示すものであるとみられます。
EUは平和を守り経済と社会の進歩を促進するために結束した28の加盟国から成り、共通の機関を有する欧州の3つの共同体(欧州石炭鉄鋼共同体、欧州経済共同体、欧州原子力共同体を合体したものです 。ベトナムとEUは1990年11月、外交関係を樹立し、1996年に、ハノイ駐在EU代表事務所が開設されました。
それ以来、双方の関係は迅速に深化し、拡大されています。現在、EUは経済、貿易、投資などの分野でベトナムの重要なパートナーの1つとなり、ベトナムの経済社会発展と世界経済への参入に積極的に貢献してきました。
ベトナムとEUとの関係の突破口
EUは新たな改革条約リスボン条約を採択してから、アジア、中でもベトナムに深い関心を寄せています。こうした背景の中で、ベトナムとEUとの多面的な関係が促進されるようになりました。2012年、双方はPCA=全面的パートナーシップ協力協定を締結し、自由貿易協定の交渉に踏み切りました。
ベルギー駐在ベトナムのファム・サイン・チャウEU大使は次のように語りました。
(テープ)
「全面的パートナー協力関係に関する合意書と枠組み協定を締結するのは初めてのことです。これはベトナムとEUとの全面的な協力関係の発展に基盤を作り出します。また、これは特別な協力体制となります。現在、双方は自由貿易協定の交渉を行っていますが、この協定により、欧州諸国に輸出されるベトナム製品は課税されません。」
ベトナムとEUとの関係において貿易・投資は重要な柱となっています。2011年から2013年にかけて双方の商取引額は45億ドルから7倍増にあたる337億ドルに増えました。また、2012年、EUは初めてアメリカを追い越し、ベトナムの第一の輸出先へと成長しました。
投資分野に関し、今年6月現在、加盟28カ国の中の23カ国はベトナムに加工産業、給電、給水、情報通信などに集中する、180億ドル相当の1471件の投資プロジェクトを行っています。それで、双方は貿易・投資に関するチャンスを徹底的に生かすため、自由貿易協定の交渉を加速しています。
8月11日と12日の両日、キャサリン・アシュトン欧州連合外務・安全保障政策上級代表兼欧州委員会副委員長はベトナムを訪問した際、次のように強調しました。
(テープ)
「自由貿易協定は双方に大きなチャンスをもたらします。商取引額は激増し、双方の希望に応えられるでしょう。現在、ベトナムとEUとの自由貿易協定の交渉は順調に進められており、年末の交渉終結を望んでいます。」
EUはベトナムの重要な貿易投資の相手であるだけでなく、大きなODA供与者でもあります。2014年から2020年期におけるEUの対ベトナムのODA公約額は2007年から2013年期の30%増となっています。
地域と世界の平和、安定に向け協力
ベトナムとEUは多国間と国際場裏で緊密に協力しています。現在、ベトナムはASEAN・EU対話関係のコーディネーターを務めています。去る7月、ベトナムとEUは第20回ASEAN・EU外相会議を共催しました。
さきほどのベルギー駐在ベトナムのファム・サイン・チャウEU大使は次のように述べました。
(テープ)
「ベトナムとEUの関係の新しい点はベトナムの安全保障問題に関するものです。EUは議会でベトナム東部海域いわゆる南シナ海問題に関する陳述会を行った数少ないパートナーの1つです。また、欧州議会はASEAN諸国との関係の強化に関する決議を採択しましたが、東部海域の平和維持に関する基本的な原則を取り上げました。これはベトナムとEUとの関係の前向きな点です。」
なお、バローゾ委員長は2日間にわたるベトナム訪問期間中、ベトナムの指導者らと経済、貿易を中心に双方関係の強化措置や地域と国際問題などについて意見交換する予定です。
この訪問は双方の多面的な協力関係に明るい展望と利益をもたらすのはもちろん、地域と世界の平和、協力、発展にも貢献するとしています。