既にお伝えしましたように、ベトナムのグエン・スアン・フック首相の招きに応じて、スロバキアの ロベルト・フィツォ首相は、16日から19日の日程で、ベトナム公式訪問を行っています。フィツォ首相のベトナム訪問は今回が2回目で、ベトナムとスロバキアとの多面的な伝統的友好協力関係を強化し、共に関心を持っている地域と国際問題について意見交換をするためのものです。
両国政府の代表団による会談
面積およそ4万9000平方キロ、人口およそ550万人のスロバキアはかつて、チェコ・スロバキア連邦共和国に属していましたが、1993年から独立国家となっています。現在はEU=欧州連合や、NATO=北大西洋条約機構、OECD=経済協力開発機構の加盟国です。
ベトナムとスロバキアは、チェコ・スロバキア連邦共和国時代の友好協力関係を継承し、1950年2月2日を国交樹立記念日として定めています。2015年、両国は国交樹立65周年を記念する様々な活動を活発に行いました。
良好な伝統的関係
1993年から、両国関係は積極的に発展してきました。双方は、司法や、人材開発、医療、航行、文化、経済など多くの分野での協力に関する協定を締結し、協力関係の発展に基礎を作り出してきました。両国間の貿易関係は順調に発展していると共に、投資関係も徐々に拡大されています。
現在、スロバキアはベトナムに投資している105ヶ国・地域の中の35番目となっています。スロバキア企業の投資プロジェクトは主に建設分野に集中しています。教育協力は、両国間の協力関係の目玉と見られています。
1994年1月27日、両国は職業訓練協力に関する協定を締結しましたが、現在は、2015~2019年期における教育訓練協力合意書の調印を進めています。2009年行われた当時のベトナムのグエン・ミン・チェット国家主席のスロバキア訪問を機に、スロバキアはベトナムをODA=政府開発援助の優先対象国のリストに入れました。
文化、観光協力に関して、2015年、両国は2019年までの協力合意書を締結しました。特に、現在スロバキアに在留中のおよそ5000人のベトナム人は両国間の架け橋として見なされています。
協力関係の展望
スロバキアはベトナムを東南アジア地域における重要な相手国と見なしています。同国はEUの加盟国として活躍する一方、ベトナムはASEANの積極的なメンバーと評されています。そのため、スロバキアはベトナムとEUを結ぶ架け橋、そして、ベトナムはスロバキアのASEANへの入口としての役割を果たすことができます。
スロバキアは、すその産業や、エネルギー産業、医療、製造業などが発達している一方、ベトナムはコメや、果物、水産物の生産などの分野で大きなメリットがあります。これらは、両国が協力を強化することにとって、有益なものと見られています。現在、スロバキア企業はベトナムに関心を寄せ、エネルギーや、インフラ整備、IT=情報技術などの分野でベトナムと協力したい意向にあります。
そのため、今回、フィツォ首相には、製油や、林産物、IT、金融、銀行、通信、放送、運輸などの分野に携わる20社の企業の代表が同行しています。両国企業の協力の強化へ向けて、フィツォ首相のベトナム訪問を機に、ベトナム・スロバキアビジネスフォーラムが行われる予定です。
ベトナムとスロバキアは、協力を促進・拡大させるため大きな潜在力があるといえます。こうした中、今回のフィツォ首相のベトナム訪問、および、訪問期間中、締結される協力合意書は両国間の協力の発展に新しいロードマップと原動力を作り出すと期待されています。