(VOVWORLD) - 国際世論は、現在の中東の外交危機は一時的なものであり、早々に解決されると期待しています。
中東地域は史上最悪の外交危機に直面しています。この数日、域内の複数の国々はカタールが通信や、政治、資金などの面でテロリズムを支援しているとして同国との国交を断絶しました。情勢が不安定な中東地域ですが、この外交危機により、新たな衝突が発生すると懸念されています。
(写真:ロイター) |
この数日、サウジアラビア、エジプト、アラブ首長国連邦、バーレーンなど中東9カ国はカタールとの国交を断絶しました。サウジアラビアは陸・空・海の全てにおいてカタールとの接触を断つことを決定しました。アラブ諸国が域内の国との国交を断絶するのは今回が初めてであり、その理由は「テロ支援だから」としています。
中東の亀裂の原因
この危機は1週間以上前から始まりましたが、これまで、緊張緩和の兆しが出ていません。こうした中、イランはカタールに食料などを空輸して支援を始めました。イラン航空の当局者は11日、航空機4便が野菜を含む食料をカタールに運んだと述べました。南部ファルス県当局者は「毎日カタールに果物や野菜など100トンを輸出する」としており、今後も食料空輸を継続する意向を示しました。
アナリストらによりますと、この危機の根源は、長年にわたり積もられてきたアラブ世界内の矛盾や、衝突、緊張によるものです。カタールへの制裁は「テロ支援」を理由にしていますが、実際、これは、カタールが進めてきた独立した外交政策や、カタールとイランとの密接な関係などに関する不満の表れだということです。
2011年にエジプトや、リビア、シリアなどで勃発した「アラブの春」により、その不満が高まりました。当時、アラブ世界内の亀裂が出ました。エジプトや、サウジアラビア、アラブ首長国連邦が「アラブの春」に猛反発した一方、カタールは中道的態度を示しました。
アラブ首長国連邦などは「カタールの態度はほかのアラブ諸国の立場に逆行している」と批判しました。また、石油生産国間の権力争いもその根源の1つと指摘されています。
問題解決のための努力
中東地域の緊張情勢を前に、国際社会はこの問題解決のために取り組んでいます。アメリカのティラーソン国務長官は、アラブ諸国同士の対立が過激派組織IS=イスラム国の軍事作戦の妨げなどになっているとして、双方に緊張の緩和を呼びかけました。
一方、トルコのエルドアン大統領は、カタールとの関係強化や事態打開への意欲を示しており、仲介役としての動きが注目されています。また、中国とロシアも緊張緩和のために協力すると表明しています。さらに、クウェートのサバハ・ハリド外相は11日、「断絶を修復」するためにクウェートが尽力するとの声明を発表しました。声明は「解決策を見いだすまで、クウェートはあきらめない」と強調し、カタール側にも協力の用意があると指摘しました。
同外相によりますと、カタールは湾岸諸国の懸念に耳を傾ける用意があるとともに、他の湾岸諸国の不安と懸念を理解し、治安と安定を強化する努力に留意する用意もあるとしています。
こうした中、国際世論は、現在の中東の外交危機は一時的なものであり、早々に解決されると期待しています。