新型コロナウイルス肺炎による被害

(VOVWORLD) - 新型コロナウイルスによる肺炎いわゆるCovid-19は世界経済に打撃を与えています。このわずか2か月間、その損害額は数千億ドルを超えています。したがって、世界経済は行き詰まり状態に陥る可能性があります。

新型コロナウイルス肺炎による被害  - ảnh 1 ダイムラー社のオラ・ケレニウス社長がCovid-19の危   険性について警告(写真:ロイター)

これまで、中国・湖北省武漢市を中心に流行し始めたこの危険な疫病はおよそ100か国・地域に拡大し、グローバルなサプライチェーンに多大な影響を及ぼしています。深刻な被害を受けているのは、電子製品や、自動車産業、繊維製品、履物、観光、サービス業、航空を含む交通運輸などとなっています。 

世界経済の衰退につながる

 国際組織は、今年第1四半期に世界経済の成長は減速していると指摘しています。アメリカの大手総合情報サービス会社ブルームバーグは、「Covid-19による被害は1600億ドルにのぼり、2002年に流行したSARS=重症急性呼吸器症候群と比べ、およそ4倍より高くなる可能性がある」と予測しています。

ブルームバーグによりますと、現時点でも、中国の数万か所の工場が活動を停止していることや、同国の数千万人の労働者が自宅待機していること観光と貿易活動がマヒ状態にあることなどがその証としています。他方、IMF国際通貨基金は世界経済の成長について、底入れの段階にあるもようとの見方を繰り返す一方、新型コロナウイルスなどのリスク要因が見通しに影を落としていると注意を促しています。

また、バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチ・グローバル・リサーチは、「2020年の世界経済の成長率は2・8%に低下する見通しである」と予測しています。さらに、商業 ベースの研究機関オックスフォードエコノミックスは、「この疫病による損害額は1兆1000億ドルにのぼる可能性がある」と分析しています。

 経済大国への打撃

エコノミストらは、「経済大国も多大な損害を受ける」として息しています。ブルームバーグによりますと、今年第1四半期、中国のGDP=国内総生産は1・2%低下するほか、欧州の成長率も低い水準にあります。

また、アメリカと日本の経済は深刻な被害を受けます。日本に関しては、貿易赤字が続くと同時に、観光と輸出活動が停滞します。とくに、疫病が東京五輪まで続くと、その損害は予断できないほど大きくなるとしています。こうした中、各国は、複数の刺激策をとっています。2月初めに、中国人民銀行(中央銀行)は1兆2000億元(約18兆7000億円)を金融市場に供給すると発表しました。

欧州中央銀行はマイナス金利政策を維持せざるを得ていません。新型コロナウイルスの感染拡大に端を発して金融市場が不安定になっていることから、日本銀行は、3月2日に続いて3日も5000億円の資金を金融市場に供給すると発表しました。大量の資金供給で市場の動揺を抑えるねらいです。

現時点まで、新型コロナウイルスによる肺炎との戦いはグローバルな規模となっています。各国はあらゆる必要な措置をとっています。全世界の努力により、この疫病がもたらす被害が最小限に抑えられることが期待されています。

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