日本・韓国 「シャトル外交」を促進

(VOVWORLD) - 7日、日本の岸田文雄首相は就任後はじめてソウルに到着し、8日までの2日間の韓国公式訪問を開始しました。訪問中、岸田首相と韓国のユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領は首脳会談を行い、日韓関係の改善の流れを加速させるため、「シャトル外交」を促進していく意向を表明しました。

会談では、朝鮮の核・ミサイル問題を受けた安全保障面での連携の強化や経済、ハイテク、科学技術、文化、青年分野などでの協力の促進について意見交換が行われました。

双方関係を促進

日本首相の韓国訪問は、2018年に当時の安倍総理大臣がピョンチャンオリンピックの開会式に合わせて訪問して以来、5年ぶりとなります。

日本と韓国のメディアはいずれも今回の首脳会談は冷え切った両国関係を温めるための重要な節目となると報じました。1997年からの数十年間にわたり、日本と韓国の間にはさまざまな課題や懸案が存在し、その中には太平洋戦争中の「徴用」をめぐる問題があります。

太平洋戦争中の「徴用」をめぐる問題では、今年3月に韓国政府が発表した解決策に基づき、先月、韓国政府傘下の財団が裁判所から賠償を命じられていた日本企業に代わって一部の原告に対する支払いを行いました。ただ、財団からの支払いについて受け取りを拒否する意向を示している原告もいて、日本政府は解決策が着実に実行されるか注視しています。

2018年12月には、海上自衛隊の航空機が日本海で韓国軍の艦艇から射撃管制用レーダーの照射を受け、日本政府は不測の事態を招きかねない危険な行為だとして抗議しました。一方、韓国側は、自衛隊機を狙ったものではないという姿勢を崩さず、双方の見解は平行線のままです。日本が世界文化遺産への登録を目指している新潟県の「佐渡島(さどがしま)の金山(きんざん)」をめぐって、韓国は「朝鮮半島出身の労働者が強制的に働かされた場所だ」として反発し、対立が深まりました。

こうした事情を踏まえ、1年前に就任したユン・ソンニョル大統領は日本との関係改善に意欲を示し、今年3月、日本を公式訪問しました。岸田首相の今回の韓国訪問はユン大統領の日本訪問に対する答礼訪問であり、「シャトル外交」の復元を目指すものであるとしています。東京を出発する前に、岸田首相は「相互信頼に基づき、太平洋戦争中の「徴用」を含む様々な課題についてユン大統領と意思の疎通を続けていきたい」と述べました。

関係の改善を目指す

両首脳は会談後、共同記者会見を行い、安全保障や経済分野での包括的な協力、中でも外交と安保機関の対話メカニズムの設立を歓迎しました。また、両国は互いの「ホワイト国=輸出審査優待国」の再指定を進めていると明らかにしました。経済協力について、半導体分野などでの経済安全保障協力や、先端産業、人工知能、デジタルバイオロジー、未来材料など主要関心事を議題に話し合ったとしています。

朝鮮の核・ミサイル問題に関し、両首脳は日・朝・韓、および日・米・韓3者協力の促進は地域の平和・安全保障の確保に役立つという見解で一致し、今月のG7広島サミットで日米韓3か国の首脳会談などの開催を踏まえ、事前の調整も行うことでも合意しました。

日本と韓国は東アジアにおけるアメリカの重要な同盟国です。2国間の緊張関係の長期化はアメリカの歴代大統領の懸念を招いています。バイデン現大統領は日本と韓国の「シャトル外交」は双方関係の改善だけでなく、日・米・韓の安保パートナーシップの強化にも貢献するであろうとの見方を示しました。年初から、朝鮮が弾道ミサイルの発射を繰り返し、朝鮮半島情勢の緊張が増している背景の中で3か国の関係強化は平和と安全保障の確保に寄与するとしています。

なお、今回の首脳会談で岸田首相とユン大統領は、日韓関係をさらに発展させていくことで一致し、関係改善の流れを確かなものにするねらいがあるものとみられます。

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