21日午前、ハノイで開幕した第13期ベトナム国会第11回会議で、グエン・スアン・フック副首相は経済社会発展状況に関する政府の追加報告、中でも2016年~2020年期の経済社会発展5カ年計画を読み上げました。
計画には総合的な目標や実施すべき解決策などが盛り込まれています。
向こう5年間の経済社会発展計画は総合的な目標としてマクロ経済の安定化、経済成長率の引き上げ、戦略的措置の実施の加速、経済再構築と成長モデルの刷新との連携、競争力の向上などを挙げました。
また、気候変動への主体的対応、国家の領土保全、領有権の確保、国際社会におけるベトナムの地位向上も掲げられています。一方、経済分野に関して、この5年間のGDP=国内総生産の伸び率を年平均6・5%ないし7%に、2020年までに一人当たりのGDPを3200ドルから3500ドルに、GDPに占める工業の比重を85%、訓練を受けた労働者の割合をおよそ65%ないし70%に、医療保険加入者の割合を人口のおよそ80%にするという目標が設定されました。
マクロ経済の安定化、経済社会発展に原動力付け
2016年から2020年期の経済社会発展目標を達成するため、ベトナムは市場経済や世界経済への参入に関する規則を遵守した上で、市場経済体制の完備を進める方針です。フック副首相は次のように語りました。
(写真提供:tienphong.vn)
(テープ)
「各種市場を順調に発展、運営すると同時に、企業間の平等かつ明確な競争を確保します。また、通貨政策と関連政策を効果的に実施した上で、インフレ抑制やベトナムドンの価値の安定化、外貨準備高の引き上げ、経済バランスの確保に力を入れなければなりません。さらに、輸出市場の拡大と多様化、貿易振興とベトナム製品の商標づくりとの連携、国内市場の開発を進める方針です。」
このように語ったフック副首相はベトナムは経済再構築を成長モデルの刷新と連携させ、競争力の向上に取り組む決意であると強調し、次のように述べています。
(テープ)
「成長モデルの刷新を進めるとともに迅速かつ持続的な発展を確保します。経済再構築と各部門、分野の再構築に関する総合計画を引き続き実施し、農業再構築と新農村づくりを加速させ、工業化現代化事業に基盤を作ることが狙いです。
また、観光を重点的な経済分野として発展させ、グローバル供給ネットワークへの参加を促進し、海洋経済の発展を国家の領有権の確保と連携させていきます。そして各経済セクターに石油ガスの開発、港湾の建設、船舶の改修・建造、水産物の水揚げと加工、漁業サービス、海と島の観光ツアーなどを開発する計画があります。」
他方、ベトナムは公的投資法と2016年~2020年期の中期公的投資計画を実施し、国家の投資を調整するとともに各経済セクターからの投資を調達する方針を明らかにしました。
気候変動への主体的対応
向こう5年間の優先課題としては気候変動への対応、自然災害の予防対策が取り上げられています。これに基づき、気候変動への対応策に関する国家管理や国際協力を強化する一方、法律システムの充実、適切な対策の作成、実施、天然資源の管理、環境保全を強化するとしています。
また、ベトナムは原材料の輸出を削減し、気候変動の監視能力を向上させるとともに、COP21=気候変動枠組条約第21回締約国会議で出した公約を効果的に実施する姿勢を固めました。
国家主権の確保、国際社会への主体的加盟
今後5年間、ベトナムは新たな時期における祖国防衛戦略や対外活動を精力的に実施する必要があるとしています。フック副首相は次のように明らかにしました。
(テープ)
「独立、主権、領土保全を断固として確保するとともに、政治的社会的安定の維持、国の発展に向けての平和な環境づくりに力を入れていきます。また、軍隊の精鋭化や海上警察の活動の効果向上を進め、党と国家の対外路線を貫徹させた上で、各国との関係を拡大、深化させていく必要があります。さらにASEANや国連などでの多国間協力を強化し、新型の自由貿易協定を効果的に実施しなければなりません。」
なお、フック副首相が読み上げた2016年から2020年期の経済社会発展5カ年計画は国内と国際情勢のメリットとデメリットを明確に指摘した他、政府は打ち出した目標と措置の実施を目指し、行動計画を作成すると明らかにしました。