既にお伝えしましたように、日本の安倍首相の招きに応じて、ベトナムのグエン・フー・チョン共産党書記長は9月15日から18日にかけて日本公式訪問を行います。この訪問に当たり、ベトナム共産党中央対外委員会のホアン・ビン・クアン委員長は日本の新聞「ジャパンタイムズ」に「チョン書記長の訪問は越日関係に新しいビジョンをもたらす」と題する記事を寄稿しました。その記事の主な内容をご紹介します。
クアン委員長
「相互信頼、相互理解、共通利益の発揮、協力の効果向上、未来志向。これらは、この数十年間における日越関係の発展の道のりの特徴だ。42年前、両国は、外交関係を樹立したが、大昔から関係を結んだ。16世紀から日本人はベトナムを貿易相手として選んだ。「日本街」と呼ばれたベトナムのホイアン旧市街はその証だ。当時、この地方は日本と東南アジア地域との貿易の中心地と見られた。現在も、そこには、日越間の経済・文化交流に関連する多くの遺跡が保存されている。
ほかの国際関係と同様、日越関係も多くの浮き沈みを経てきた。しかし、「平和愛好、寛容、未来志向」という精神により、両国関係はますます発展している。特に、近年、この関係は全面的に大きく深化している。両国は信頼関係を構築しているが、その関係はかつてないほど良好に発展し、2,014年3月から「アジアの平和、繁栄のための広範な戦略的パートナーシップ」に格上げされた。
日本は、ベトナムの重要な相手国となっている。具体的には、ベトナムの最も高額な政府開発援助(ODA)供与国、第2の投資国、第4の貿易相手国となっている。この20年間、ベトナムは世界各国から900億ドル以上のODAを受けてきたが、その中の30%は日本のODAだ。インフラや、工業などの分野における多くの建設工事は日本・ベトナム協力によるものだ。
特に、日本はベトナムの発展政策を尊重し、経済成長や、飢餓・貧困解消、持続可能な発展になど関する経験、知識を分かち合ってきた。両国間の政治面での相互信頼も強調すべきものだ。両国は、政治体制や、経済体制が異なっているものの、相互信頼、相互尊重が絶え間なく高まっている。
日本の安倍首相が就任後の初外遊としてベトナムを選んだことは偶然ではない。また、先進7カ国(G7)の中で、日本はベトナムの市場経済を認定する最初の国だ。20年前、つまり、冷戦が終わった後、ベトナム共産党書記長は日本訪問した。この数年間、両国の政党、国会は相互訪問団の交換を維持しており、また、国民交流も強化されている。
ベトナムは常に、世界と地域の平和、協力、発展に対する日本の貢献を高く評価し、日本が世界と地域の平和、協力、発展に対する役割を高めることを支持している。ベトナムは早期に日本が国連安全保障理事会常任理事国となることに支持を表明し、そして、その支持を終始一貫した政策として堅持している。
その信頼の土台は、文化面での類似点や、「同文、同種、同州」という要素、歴史的な関係の繋がり、「協力のための誠意誠心」、両国国民の親愛関係と強い活力などによるものだ。両国は単なる重要なパートナーだけでなく、困難を分かち合う友人でもある。
協力関係の土台が強い両国は現在、多くの共通の戦略的利益を共有しており、また、ともに発展していくために相互支援するための潜在力を持っている。両国はともに、アジア太平洋地域を平和、安定、協力、発展の地域に建設するという政策を取っており、あらゆる紛争を国際法に従って平和的措置で解決するという主張を堅持している。日越関係の強化は両国国民に利益をもたらし、世界と地域の利益に合致するものだ。
政治面での信頼や、文化の類似点、共通の利益、経済協力、国民交流は両国関係に関するビジョンを定める要素だ。
こうした中、まもなく行われるグエン・フー・チョン書記長の日本訪問は、両国関係の新しい節目となり、新しいビジョンをもたらし、そして、「信頼強化、経済連携、協力拡大、持続可能な発展、未来志向」という方針に従って、両国間の「アジアの平和、繁栄のための広範な戦略的パートナーシップ」を全面的に強化・深化させるものとなると期待されている。