アフリカ連合首脳会議をめぐる問題

(VOVWORLD) - 既にお伝えしましたように、10日、エチオピアの首都アディスアベバで、AU=アフリカ連合の第32回首脳会議が2日間の議事日程で始まり、50以上の加盟国の首脳らが参加しています。今回は、AUの改革事業や、難民問題、地域の平和・安定などは主要議題となっています。

サミットで、AU委員会のムーサ・ファキ・マハマト委員長は加盟諸国に対し、自由貿易や、平和、安全保障、体制改革、財政などを含めあらゆる分野でさらに成果を収めていくために努力していくようアピールしました。一方、AUの輪番議長を務めるエジプトのシシ大統領は、「今後も、AUは体制、構造、財政面での改革を継続し、アフリカ諸国の共同行動を強化していく」と強調しました。

自由貿易問題に関し、AUは域内の貿易にかかる関税を段階的に撤廃して自由貿易圏を設立することで去年、合意し、これまでにケニアやガーナなどが協定を批准したほか、南アフリカも批准に向けた国内の手続きを進めています。

協定は批准国が22に達した時点で発効することになっていて、最終的には域内人口12億人、総生産3兆ドル規模の巨大な自由貿易圏が誕生することになり、アフリカの経済成長を加速させると期待されています。開会式で、前任の議長であるルワンダのカガメ大統領が演説し、アフリカ全体を対象にした「アフリカ大陸自由貿易圏」に触れ、「数週間後には発足できるだろう」と述べました。

アフリカでの政治衝突に関し、国連のアントニオ・グテーレス事務総長は、「新風がアフリカに吹き込まれており、多くの国が和解している」と述べ、「アフリカは、衝突を防止・解決することの手本になる見通しである」と楽観視しています。

しかし、経済と難民問題に関する悲観的な声も上がっています。経済問題に関し、先ごろ、アフリカ開発銀行のハナン・モルシマクロ経済政策予測・研究局長は世界の2大経済大国であるアメリカと中国の貿易摩擦が長引いている影響で、アフリカの2019年のGDP国内総生産が0.7%下がる恐れがあるとの見方を示しました。

難民問題に関し、アフリカは経済・社会、安全保障などの面で多くの困難に直面していますが、全世界の難民の3分の1を受け入れています。

こうした中、今回のアフリカ連合首脳会議は重要な意義があると評されています。会議では、差し迫った問題の解決策や、今後のアフリカの発展方向が定められるものと期待されています。

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