(VOVWORLD) - 先週、アメリカは、多国間合意の後で国連人権理事会からの脱退を正式に表明しましたが、人権問題に対する確約を確保しなければならないと強調しました。
19日にかねて検討していた国連人権理事会からの脱退を正式に表明しました。これまでにもユネスコ=国連教育科学文化機関や地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」、難民・移民保護の国際交渉からの離脱を決めました。「米国第一」を押し通すアメリカが国際社会に背を向け続けています。
ヘイリー米国連大使は先週、「人権をあざ笑う偽善的で利己的な組織には残れない」、ポンペオ米国務長官との共同記者会見で人権理事会を痛烈に批判し、脱退を宣言しました。中国やコンゴ民主共和国、ベネズエラなど「人権侵害国」(ヘイリー氏)が理事国に名を連ねていることに加え、パレスチナ問題をめぐり米国が支援するイスラエルを批判することに反発しました。
アメリカは2006年の理事会創設当時も加入を拒否していました。理事会の前身である人権委員会と同様、人権侵害の疑いのある国にも加盟を許していたためでした。加入したのはオバマ政権時代の2009年で、2012年に理事国に再選されました。
しかし2013年には、中国やロシア、サウジアラビア、アルジェリア、ベトナムといった国々が選ばれ、理事会は人権団体から非難を浴びました。さらに、理事会から不当な批判を受けたとしてイスラエルがレビューをボイコットしていました。
イスラエルは理事会で唯一、常設課題とされている国で、パレスチナへの対応が定期的に調査されました。ヘイリー氏は人権理事会への痛烈な批判をした後、「この離脱で我々の人権への貢献が後退することはないことを明言しておく」と話しました。
その後、アメリカなど大国が拒否権を持たない国連総会で同様の決議が賛成多数で採択され、アメリカの孤立は際立ちました。一連の動きにイスラエルを擁護するアメリカは不満を強め、パレスチナの人権問題を話し合う人権理事会からの脱退につながりました。
国連のグテレス事務総長は19日、アメリカの脱退表明を受け、報道官を通じて「アメリカは残ってくれたほうがよかった」との消極的な声明を出しました。国連にとってアメリカは最大の資金拠出国であるだけでなく、民主主義の守護者としての役割も期待されてきました。アメリカの人権理事会からの脱退は人権侵害国を勢いづかせることにもなりかねず、アメリカの孤立主義が国際社会に暗い影を落としていました。