(VOVWORLD) -トルコは20日、シリア北部のクルド人民兵組織「YPG=クルド人民防衛部隊」の排除に向けた空爆と地上作戦を開始しました。作戦はYPGといIS=イスラム過激派組織を標的として、「オリーブの枝」とされています。
トルコ空軍は、シリア北部の都市アフリン周辺にあるクルド人勢力の拠点113箇所の標的の中で108箇所を攻撃しました。シリアのクルド人勢力は、アメリカの支援を受けてISの掃討作戦で活躍する一方、内戦の混乱に乗じる形で一方的に自治を宣言し、トルコと接する北部の国境地帯で支配地域を広げてきました。
トルコ軍が国境を越えて軍事作戦を始めたことを受けて、シリアのアサド政権は国営通信を通じて声明を出し、「シリアの領土に対する侵略行為だ」と強く非難したうえで、作戦を中止させるために必要な措置を取るよう国際社会に呼びかけました。
トルコ政府は今回の作戦についてアサド政権に通告したとしていますが、これについて声明では、「トルコのウソには慣れている」として否定しています。
ただ、作戦開始の2日前には、アサド政権の後ろ盾となっているロシアとトルコの双方の軍のトップが会談していて、トルコはロシアを通じて、アサド政権側からシリア領空で空爆を行うための了解を取り付けていたという見方が広がっています。
アナリストによりますと、トルコ軍による対クルド軍事作戦「オリーブの枝」の根本は、
1月末にロシア南部ソチで開かれる予定の「シリア国民対話会議」において、シリア和平を仲介するトルコの発言力を高める動きであるしかないということです。
シリアで支配地域を広げてきたクルド人勢力に対し、警戒を強める隣国のトルコが軍事作戦に乗り出し、シリアの内戦の構図がより複雑になることで、こう着したままの和平協議が一層難航することが懸念されます。