米軍がシリア アサド政権へミサイル攻撃 ロシアは強く反発
写真提供: AFP
(NHK)アメリカのトランプ政権はシリアのアサド政権が化学兵器を使用したと断定し、対抗措置として、アサド政権の軍事施設を巡航ミサイルで攻撃しました。これに対して、アサド政権とそれを支援するロシアは強く反発していて、シリア情勢の混迷がさらに深まる可能性も出ています。
アメリカ国防総省は、地中海に展開するアメリカ軍の駆逐艦2隻から現地時間の7日午前4時40分ごろ、日本時間の7日午前9時40分ごろ、巡航ミサイル「トマホーク」59発を発射し、シリア中部のシャイラート空軍基地を攻撃したことを明らかにしました。
シリアでは今月4日、北西部イドリブ県の反政府勢力が支配する町が空爆を受け少なくとも72人が死亡し、猛毒のサリンなどの化学兵器が使われた疑いが強まっています。
トランプ大統領は6日、滞在先の南部フロリダ州で声明を発表し、「シリアの独裁者アサドがおそろしい神経ガスの化学兵器を使って罪のない市民を攻撃した」とアサド政権が化学兵器を使用したと断定したうえで、「化学兵器の使用と拡散を防ぐことはアメリカの安全保障上の重要な利益だ」として、対抗措置として攻撃に踏み切ったことを明らかにしました。国防総省は、化学兵器を使った攻撃にはシャイラート空軍基地から飛び立った航空機が関わっていたとしています。
シリアで内戦が始まってからアメリカは過激派組織IS=イスラミックステートに対して空爆を続けてきましたが、アサド政権を攻撃したのは今回が初めてです。
これに対してシリア政府軍は7日、国営テレビを通じて声明を発表し、攻撃で6人が死亡したことを明らかにしたうえで「露骨な侵略行為だ」とアメリカの軍事行動を強く非難しました。
また、アサド政権を支援するロシアの大統領府のペスコフ報道官は、「プーチン大統領は今回の攻撃について、主権国家への侵略行為で、国際法違反だと考えている」と述べ、プーチン大統領が強く反発していることを明らかにしました。
アメリカは、今回の攻撃についてロシアには事前に通告したとしていますが、ロシアはシリアとともに強く反発しており、シリア情勢の混迷がさらに深まる可能性も出ています。