イギリスのEU=欧州連合離脱に向けた交渉が19日、EU本部があるベルギーの首都ブリュッセルで始まります。離脱を決めた昨年6月のイギリス民投票から1年となります。
イギリス・EUはようやく話し合いのテーブルに着く態勢が整ったということです。双方は来年秋の大筋合意を目指すが、主張の隔たりが大きく、決裂の危険もはらんでいます。
イギリス政府は今年3月、EUに離脱の意思を正式通告し、原則2年の交渉期間がスタートしました。EU加盟国の離脱は初めてで、世界の注目を集める対決が「どんな結末を迎えるかは誰にも分からない」(外交筋)。途中経過が明らかになるたび、金融市場では英通貨ポンド相場などが乱高下しました。
ブリュッセルでの初会合にはデービス英EU離脱担当相とバルニエEU首席交渉官らが出席し、19日午前11時(日本時間同日午後6時)から今後の議論の進め方などをめぐって意見交換する見通しです。同日午後6時半(同20日午前1時半)ごろから共同記者会見を予定しています。
交渉では、EUがイギリスに対し、(1)600億ユーロ(約7兆4000億円)規模の「手切れ金」の支払い(2)英国に住むEU加盟国市民の権利保障-などを要求し、英国はEUに自由貿易協定(FTA)の速やかな締結を迫る方針です。イギリスがEUの言い分を受け入れ、EUも英国に手を差し伸べるかが焦点となりますが、これまでの前哨戦では互いの意地がぶつかり合っており、妥結にはほど遠い状況です。(時事)