(VOVWORLD) -最近、イエンバイ省に住むモン族の横笛の演奏が国の無形文化遺産として認定されました。
 （写真：Tuan Anh） |
北部山岳地帯にあるイエンバイ省に住む少数民族モン族にとって、竹でできた横笛「ケン」は神と人間をつなげるもので、とても貴重な楽器です。また、この楽器は、恋人や友達に自分の気持ちを伝えるものとして、人間同士の大切なコミュニケーション手段の一つでもあります。最近、イエンバイ省に住むモン族の横笛の演奏が国の無形文化遺産として認定されました。
現場の音
６本の竹からなるモン族の横笛「ケン」は、それぞれの長さによってその音色が違いますが、一番大きくて短い竹はそのメロディーのベース音をつくる役割があります。「ケン」の音色は清らかで、聞く人の心に染み込んでゆきます。
特に、若い男性にとってケンは恋する女性に自分の気持ちを伝える愛のメッセージのようなものです。ケンを吹きながら、上手に踊ることができる男性は、女性の理想的な結婚相手とされています。
しかし、横笛ケンは、恋愛感情を示す手段であるだけでなく、結婚式や葬式、お祭りなどすべての行事にとって欠かせない存在でもあります。ケンは、嬉しい時も、悲しい時も、そして、お祝いの言葉を述べる時も自分の気持ちを表す手段なのです。
イエンバイ省チャムタウ県チャムタウ町に住む芸人ザン・アー・スーさんは次のように語りました。
（テープ）
「モン族の人々は多くの伝統的楽器を持っていますが、その中で、モン族の結婚式、葬式などすべての重要なイベントで利用できる唯一の楽器は横笛です」
ケンの特徴は、動き回り体を動かし踊りながら、ケンを吹くことです。踊りはそのメロディーに合わせなければなりません。ケンを上手に吹くのは難しく、さらに上手に踊りながら、ケンを吹くのはもっと難しいことです。しかし、それは、男性の力を示すもので、モン族の男性は子どもの頃から、ケンを習い始めます。
現場の音
実際、「ケン」を上手に吹くことができる10歳の子どもは少なくありません。そのため、モン族の男性ならば、誰もが「ケン」を吹きながら、上手に踊らなければならないと考えられています。その意味で、「ケン」は楽器としてだけでなく、踊りの道具でもあり、男性から切り離すことができない存在です。そして、「ケン」を武器として利用する男性もいたので、「ケンの武術」という言葉さえあります。
近年、横笛の演奏の伝統を守るため、イエンバイ省のムー・カン・チャイ県、チャム・タウ県、バン・チャン県ではモン族の横笛演奏班が多く設立されました。そのほか、地元に住むモン族の日常生活や競技会、文化イベントで、横笛がよく演奏されています。ムー・カン・チャイ県、チャム・タウ県ではモン族の青少年を対象にした横笛演奏を教える多くの教室が開設されました。
この教室に参加した青少年は、横笛の持ち方や呼吸の整え方から、モン族の伝統舞踊まで学び、モン族の楽器に対する情熱と愛情を呼び起こすことに貢献しました。チャムタウ県の横笛の演奏指導に参加している一人、ホー・ア・タオさんは次のように語りました。
（テープ）
「2016年、私の子供に横笛の吹き方を初めて教えました。その後、2人、そして、3人，4人、後で13人が教室に参加しました。チャムタウ県の多くの人々が横笛の演奏ができるようになることを期待しています」
横笛の演奏はモン族の文化遺産の 1 つです。人と人、人と自然の関係におけるモン族の創造性、品格、文化価値を示しています。最近、イエンバイ省のムーカンチャイ県、チャムタウ県、バンチャン県に住むモン族の横笛演奏芸術が国の無形文化遺産のリストに登録されました。ムー・カン・チャイ県に住むモン族の横笛の奏者の一人ザン・ア・パンさんはこのイベントを喜び、次のように述べました。
（テープ）
「モン族の横笛演奏芸術が国の無形文化遺産のリストに登録されたことを嬉しく思っています。これは横笛の演奏の維持、保存に大きく貢献しています。今後も、若い世代に横笛の演奏を教え続けます」
また、モン族の横笛演奏芸術が国の無形文化遺産として認定されたことにより、今後も、横笛の音がモン族の村々だけでなく、引き続き多くの場で響きわたることでしょう。