ハノイ便りの時間がやってまいりました。
ホアイ ご機嫌いかがですか皆さん。ホアイです。
アン こんにちは。アンです。昔から、ベトナム南部ホーチミン市カンゾー県の住民にとって、毎年の陰暦8月16日に行われる鯨祭りは地元の人々にとって欠かせない信仰活動の一つとなってきましたね。
ホアイ そうですね。今日のこの時間はカンゾー県の鯨祭りについてご紹介しましょうか?
アン はい。いいですね。カンゾー県はホーチミン市の中心から南東へ50キロほどのところにあり、ホーチミン市で唯一海に面している県です。カンゾー県は広々としたマングローブ林がある地方として知られていますね。
ホアイ カンゾー県の漁民にとって、毎年の陰暦8月16日に行われる鯨祭りは年中行事の中でもっとも重要な祭りです。この祭りが盛大に行われるとその年は大漁であると信じられています。
アン 漁民の慣習によりますと、漁民の生活は常に危険にさらされているため、彼らの間で危険から守ってくれる神様への信念が生まれました。鯨を祀る信仰もその一つですね。
ホアイ そうですね。その昔、漁民たちは小型船に乗ってしけの海に漁に出て遭難しました。鯨は海に浮かんでいた遭難者を岸まで運んできました。そのため、ベトナム中部では、浜に漂着したクジラを 「魚の王」としてその頭蓋を祠に祀る信仰がありましたね。
アン そうですね。ベトナムでの多くの漁村は浜に漂着した鯨の死骸を肉親を思うように丁寧に葬りました。鯨は神様として祀られ、漁民たちの心の拠りどころとなっています。
ホアイ そうですね。毎年、これらの漁村は浜に漂着した鯨の死骸を安置するため、鯨廟を建設して、毎日、供養してきました。後に、その供養が鯨の恩をしのぶ祭りとなったそうです。カンゾー県カンタイン村にある鯨廟の管理者ゴ・バン・ジ( Ngo Van Di) さんは次のように語りました。
(テープ)
「300年前から、カンゾー県の漁民はこの祭りを行ってきましたので、この祭りは地元の漁民の記憶に深く留まっています」
ホアイ ジさんの話でした。では、ここでちょっとティータイムにして、歌をお聞きいただきましょう。
歌:「海に面する村の集会所」をお送りしました。
話を続けましょう。カンゾー県の鯨祭りは鯨を祀るという点で他の地方と同じですが、カンゾー県の鯨祭りは独特のものです。それはカンゾー県の鯨祭りが陰暦8月16日に行われます。ホーチミン市の社会科学人文大学の講師であるフィン・コク・タン博士は次のように語りました。
(テープ)
「鯨を供養する儀式は海洋と南部の各地を開墾した先人たち代々の恩をしのぶ為のものです。その中には現在のホーチミン市も含まれます」
ホアイ タン博士の話でした。近年、ホーチミン市は鯨祭りを国家レベルの祭りとして格上げするため取り組んできました。この祭りの儀式の部分は昔のまま維持、保存されてきましたが、祭りの部分には民間遊戯の他、近代的な遊びやスポーツが行われます。カンゾー県の鯨祭り組織委員会のファム・ヒェウ委員長は次のように語りました。
(テープ)
「この祭りの開催には政府の援助の他に、地元住民も人的物的な支援を行っています。この祭りをカンゾー県の漁民の祭りにするためのものです」
ホアイ ファム・ヒェウ委員長の話でした。カンゾー県の鯨祭りを開催するのは地元の漁民のすばらしい伝統的文化価値を維持、保存するだけでなく、この祭りを通じて、国内外の人々に地元の独特な文化や経済、観光の発展の潜在力を紹介することもできますね。
アン そうですね。では、おしまいに歌をお聴き頂き、今日のハノイ便りを終わりにしましょう。
歌:「海の声」をお送りしました。
リスナーのみなさん。今日のこの時間はカンゾー県の鯨祭りについてご紹介しました。それでは、今日のハノイ便りの時間はこれで終わります。来週のこの時間に又お会いしましょう。ごきげんよう。
Chao cac ban。