(VOVWORLD) -2009年の調査によりますと、およそ150万人で、ベトナムの少数民族の中で、2番目に人口が多くなっています
山崎 こんにちは、山崎千佳子です。
ソン こんにちは。ソンです。今日のハノイ便りは、ベトナムの少数民族タイ族の伝統文化を保存する取り組みについてお伝えします。
山崎 タイ族という言葉はよく聞きますね。どの辺に住んでいるんですか?
ソン 主に北部の山岳地帯や北中部です。ライチャウ省、ディエンビエン省、ソンラ省、ホアビン省、タインホア省、ゲアン省などに住んでいます。
山崎 地図で言うと、ベトナムの上の方ですね。少数民族ということですが、人口はどれくらいですか?
ソン 2009年の調査によりますと、およそ150万人で、ベトナムの少数民族の中で、2番目に人口が多くなっています。
山崎 少数民族の中でもメジャーなんですね。タイ族の人達は何で生計を立てているんでしょう?
ソン 農業です。タイ族は広い平野や山の麓、川沿いなどに集まって暮らしています。稲作に関して経験が豊富です。
山崎 やはりベトナムは農業に携わる人が多いですね。
ソン そうですね。それから、手織物でも有名です。タイ族の女性は織物が上手なんです。そして、伝統舞踊も有名ですよ・
山崎 タイ族の伝統舞踊。どんなものでしょう?
ソン 歌うことと踊りが大好きなタイ族には、伝統民謡や舞踊が豊富にあるんですが、特に伝統舞踊の「ソエ」が2015年、国の無形文化遺産として認定されました。
山崎 ソエ。初めて聞きました。ソンさん、見たことありますか?
ソン (コメント)ソエは旧正月のテトやタイ族の祭りに欠かせないものです。ユネスコの無形文化遺産へ申請することも、昨年決まりました。
山崎 それだけ貴重なものなんですね。舞踊だけでなくて、タイ族の民謡もたくさんあるということですが、タイ族の言葉は何語なんでしょう?
ソン 南西タイ語と言って、タイで使われているタイ語とラオスで使われているラオ語の仲間の言葉です。
山崎 タイ語とは違うんですか?
ソン 少し違いますが、似ています。タイの人は理解できると思います。
山崎 タイ族についてご紹介しましたが、その伝統文化の保存に取り組んでいるのは、やはりタイ族の人なんでしょうか?
ソン そうです。ソンラ省の科学技術センター副所長のカー・バン・チュンさんです。チュンさんはソンラ省の省都ソンラ市にある村の出身で、全員がタイ族という地区に生まれました。
山崎 それだと、伝統文化についても詳しいですね。タイ族の伝統はなくなってしまう恐れがあるんですか?
カー・バン・チュンさん |
ソン はい。やはり社会が現代化していく中で、どんなものでも昔からの物が薄れていく、なくなる可能性はでてきますね。
山崎 チュンさんの取り組みはどんなものでしょう?
ソン 自分の専門分野の科学技術を使ったものです。タイ族の文化に関する資料を収集して、それをデータ化するなどです。
山崎 ずっと、そういった分野の仕事をしてきたんですか?
ソン はい。ベトナム北西部の土壌分析部、これは国の機関です。それから、ソンラ省の科学技術委員会の幹部、そして現在は、ソンラ省の科学技術センター副所長です。
山崎 科学的な文化保存への取り組みということですね。具体的にはどんなことをしているんでしょう?
ソン まず言葉です。タイ族の言語の入力ソフトを作成したんです。今、このソフトウェアは、ソンラ省の小学校と高等専門学校で使われています。小学校教師(Ha Thi Thanh)の話です。
(テープ)
「チュン先生は、タイ族の伝統文化の保存に全力で取り組んでいます。もうあまりお若くないですが、私達の語学教育に熱心です。先生はタイ族のことをいつも考えてくれています。」
ソン 自らの経験から、チュンさんは言語の習得の大変さをとてもよくわかっているんです。
山崎 それで、言葉のソフトウェアを作ったんですね。今はそのソフトが効果的に応用されているそうです。チュンさんの話です。
(テープ)
「タイ語の勉強自体は難しくないんですが、先生がいなければできません。ですから、コンピューター用のタイ語を教えるソフトを開発しました。そして、コンピューターがない環境の人には、タイ語の授業をCDに収録しました。ソンラ省の科学技術センターがこれらのCDを管理しています。タイ語を勉強したい人は、科学技術センターに行けばすぐ使えます。」
山崎 言葉以外の取り組みはありますか?
ソン はい。タイ族は独自の暦を使っています。チュンさんはそれに関する様々な資料を集めて、「ソンラ省のタイ族の暦」という本を書いたんです。
山崎 旧暦でなく、タイ族独特の暦なんですね。
ソン そうです。他にも、タイ族の民謡200曲のデジタル化をテーマに研究を行っています。チュンさんの願いは1つです。
山崎 タイ族の伝統文化の保存、ですね。チュンさんの話です。
(テープ)
「タイ族の伝統を守ることに少しでも役に立てて、うれしく思っています。自分には別の仕事もありますが、多くの人と協力して、保存活動を進めていきたいです。コンピューターを使えるものは、データ化します。そうすれば、長期間の保存が可能です。若い世代もタイ族の文化について考えているようです。」
山崎 チュンさんは、これまで、ソンラ省やベトナムの文化スポーツ観光省、ハノイ国家大学などから、いろいろ表彰されているそうです。
ソン はい。これからも、たくさんの協力者と一緒にこの取り組みを続けてほしいと思います。
山崎 一人だけではできませんからね。周りの人の支援が大事ですね。
ソン そうですね。
山崎 では、おしまいに一曲お送りしましょう。「~」です。
(曲)
「~」をお送りしました。今日のハノイ便りは、ベトナムの少数民族タイ族の伝統文化保存への取り組みについてお伝えしました。それでは今日はこの辺で。