(VOVWORLD) - これらの若者の共通点は、伝統文化に興味を持ってそれを守りたいということです。
ホアイ こんにちは、ホアイです。
アン こんにちは、アンです。先週のハノイ便りは、ベトナム中部高原地帯テイグエン地方のドラ演奏空間の確保への取り組みについてお伝えしましたね。
ホアイ はい。無形文化遺産としてユネスコから認定されているドラ文化の保存を目指していますね。
アン そうですね。テイグエン地方は、ドラのほか、叙事詩、民謡、民族衣装、お祭りなども有名で、本当に伝統文化が豊か地方として知られています。しかし、現代生活の影響で、伝統文化が薄くなっていて、そして、消えてしまうという懸念がありますね。
ホアイ そうですね。特に、伝統文化に興味がない若者たちが増えているという意見もあります。しかし、伝統文化の保存と発展に取り組んでいる若者もまだたくさんいます。今日のハノイ便りは、テイグエン地方の伝統文化の保存と発展に取り組んでいる若者たちについてお伝えしましょうか。
子供に伝統楽器の演奏を教える教室 |
アン はい。まず、テイグエン地方について簡単にご紹介します。ベトナム中部にあるテイグエン地方は高原地帯で、海抜500メートルから1500メートルの約10の高原からなっています。その面積はおよそ5万5千平方キロメートルです。
ホアイ テイグエン地方は、コントゥム省、ザライ省、ダクラク省、ダクノン省の5つの省になります。この地方には、バナ族、ソダン族、エデ族、コホ族、ザライ族など17の少数民族がいます。テイグエン地方の人口は約600万人で、その中の少数民族の人口は約180万人です。
アン それぞれの少数民族は独特な言語や文化を誇っていますが、ドラの文化はこの地方に住むほとんどの少数民族の文化です。
ホアイ テイグエン地方の最も特徴ある共通文化といえますね。
アン そうですね。しかし、ユネスコの遺産に登録されても、その文化を守っていくのはなかなか簡単ではないですね。
ホアイ それに興味を持つ若者が減っていることも確かですね。
アン 難しいです。しかし、こうした状況を前に、ドラの文化に若者の興味を芽生えさせる取り組みが行われています。先週のハノイ便りでお伝えしましたように、ダクラク省ブオンマートート市にあるムドゥク集落には、エデ族ならではの竹製のドラ「チンクラム」の演奏クラブがありますね。
ホアイ そうですね。3年前に結成されたムドゥク集落のチンクラムの演奏クラブは現在、12人のメンバーがいます。年齢は9歳から17歳までです。そんな若いメンバーたちは週、2~3回集まって、チンクラムの演奏を練習します。
アン 竹製のドラ「チンクラム」のほか、ムドゥク集落の若者たちは銅製のドラにも興味を持っていて、一生懸命練習しています。
ホアイ その中の一人イ・ワンさんは子供の頃から、銅製のドラの演奏を見て好きになり、習うことにしました。イ・ワンさんはまだ16歳ですが、難しいメロディーをも演奏することができます。イ・ワンさんのドラ演奏グループは、地元の多くのイベントに招待され、有名になっています。イ・ワンさんの話を聴いてみましょう。
(テープ)
「ドラを習えて、うれしいです。エデ族の伝統的な文化の保存に貢献できることを誇りに思っています。私たちのドラ演奏グループはこれからも発展すればいいなあと思います。エデ族の伝統文化がなくならないようにばんばりたいです。」
エデ族の伝統的な踊り |
ホアイ そして、エデ族ならではの民謡「エーレー」(Eirei)は若者が注目しているようですね。
アン そうですね。音楽にのせて掛け合いと例えられる民謡エーレーはエキサイティングなメロディーがありますが、その歌詞は韻を踏むのが見事です。そのため、エーレーは詩と音楽の素晴らしい結合であるといわれています。
ホアイ エーレーは歌垣の形で歌われるのが一般的です。歌垣の種類として、男女の恋愛や生活のよさ、そして、なぞなぞという3種類があります。歌垣の形で歌われるエーレーは難しいので、誰もが歌えるわけではありませんね。歌い手は、メロディーに詳しいですし、言葉遣いがうまくでなければならないということだそうです。
アン しかし、残念ながら、エーレーは消滅寸前です。エーレーに詳しい職人たちが年を取りつつあるのに対し、エーレーに興味を持つ若者が減りつつあるのです。
ホアイ エーレーが歌える若者が余りいないとよく言われています。しかし、先ごろ、ブオンマトート市で行われた少数民族文化フェスティバルで、若者たちがエーレーを歌う公演は、多くの見る人に驚かせました。それは、ブオンマトート市エアボン村のエーレークラブの公演でした。
アン その公演は、ベテラン職人のものとあまり変わらないと評されているそうですね。
ホアイ そうですね。クラブのメンバー イ・ドリム・エバンさんによりますと、エアボン村の若者たちは、先祖から伝わった伝統文化をなくしたくないと思って、クラブをつくりました。祖父母などにエーレーの歌い方を習うにつれて少しずつ好きになっているということです。イ・ドリムさんの話です。
(テープ)
「フェスティバルでエーレーの公演を行うことができ、うれしく思います。これからも、いろいろ習って、エデ族ならではの文化を守るようにしたいと思っています。」
ホアイ そして、同じくブオンマトート市に住んでいるホ・ホア・ニエさんはエデ族の伝統文化に詳しい若者として知られていますね。
アン そうですね。伝統楽器のベテラン職人の娘さんであるためか、ホ・ホア・ニエさんは幼い頃から、伝統楽器のほか、民族の飲食文化や衣装などに興味を持っています。ホ・ホア・ニエさんの話です。
(テープ)
「民族の伝統文化を紹介することができてうれしいです。私はまだ若いですが、伝統文化を守りたいと思うのです。エデ族が昔からどのように生活を送ったのかについて皆さんに理解してもらうために、一生懸命がんばりたいと思います。」
アン エデ族の伝統的な錦織りも有名です。錦織りは女性の仕事です。錦織りに特別な興味を持つ若い男性もいます。その男性は、ブオンマトート市のキー集落に住むイ・ドン・ビャさんです。
ホアイ イ・ドン・ビャさんは6、7歳ごろ、錦織りに興味を持ち始めましたが、男の子なので、教えてもらえなかったです。しかし、自分で習って今は上手になりました。イ・ドン・ビャサンは次のように話しています。
(テープ)
「男なので、教えてもらえなかったです。しかし、とても興味があるので、いろいろ工夫しながら、自分で習うことにしました。これからは、この伝統的な文化を次の世代に伝えるように努力したいと思います。」
ホアイ これらの若者の共通点は、伝統文化に興味を持ってそれを守りたいということですね。ではおしまいに、一曲をお送りしましょう。
(曲)
「 」をお送りしました。今日のハノイ便りは、テイグエン地方の伝統文化の保存と発展に取り組んでいる若者たちについてお伝えしました。それでは、今日はこのへんで。