(VOVWORLD) -これまで、テイグエン地方の叙事詩およそ200集が収集されており、現代、編纂中です。
ホアイ こんにちは、ホアイです。
ソン こんにちは、ソンです。ベトナムの中部高原地帯テイグエン地方は、エデ族、バナ族、ジャライ族など、様々な少数民族が住んでいます。
ホアイ これは、この地方独特のドラとシンバルの演奏や水牛のいけにえ祭り、口うつしに伝えられた口承叙事詩のベトナムでの発祥地です。
ソン 史実を伝える叙事詩は、歴史的には、古代ギリシャの長編叙事詩「イリアス」や古代インドの大叙事詩「マハーバーラタ」がよく知られていますが、ベトナムでは70年前にフランス人の学者がテイグエン地方のエデ族の叙事詩「ダムサン」を発見しました。
ホアイ さらにこの地方では、バナ族、ジャライ族、ムノン族の叙事詩が相次いで発見されています。今日のこの時間はテイグエン地方の叙事詩についてお伝えします。
ソン 面白いですね。これまで、テイグエン地方の叙事詩およそ200集が収集されており、現代、編纂中です。残りはおよそ100集がありますが、まだ、記録されていません。これは本当に巨大な歴史的文化的宝庫と言えますね。
ホアイ テイグエン地方の叙事詩には個別に創作されたものもあれば、連作のものもあります。これらの叙事詩は登場人物、表現の手法などの面で、つながりがある作品です。
ソン これらの連作は100集もありますから、専門家らはこれは世界最長のものと評価され、古代インドの大長編叙事詩「ラーマーヤナ」やフィンランドの民族叙事詩 「カレワラ」と比較できるとされていますね。
ホアイ テイグェン地方の叙事詩の内容はその民族の大規模な出来事を反映し、時代の情勢を物語っています。叙事詩に登場する人物は個人的な人物ではなく、共同体の代表者です。これらの人物は非常に強い力を持ち、侵略者や悪を打ち負かして村に幸福を取り戻した人物です。中部ティグェン地方コントーム省コントーム市クアンチュン区の芸人 A Jarさんは次のように語りました。
(テープ)
「各少数民族の叙事詩に登場する人物の名前は大体同じです。例えば、バナ族の叙事詩に登場する人物は「Zuong」という名前がありますが、ソダン族の叙事詩に登場する人物は「 Duong」という名前があります。しかし、これらの人物の行動はまったく違っています」
ホアイ 「イリアス」や「マハーバーラタ」など世界の有名な叙事詩との比較で言えば、これらの作品は書物の中や演劇や舞台の中の存在ですが、テイグェン地方の叙事詩は現在も当時のまま、共同体の中に伝わり、共同体の活動として演出されているということです。このように、テイグェン地方の叙事詩は共同体の中で生き続けているのです。ベトナム民族学博物館のボー・クアン・チョン( Vo Quang Trong) 博士は次のように語りました。
(テープ)
「少数民族ムノン族の叙事詩は主に散文で表現されますが、バナ族、ソダン族のものは散文の部分もあれば、散文詩の部分もあります。現在、これらの叙事詩を散文詩にできる芸人は一人もいません。これは叙事詩の価値を低めるものとなります。」
叙事詩を物語る様子(写真:petrotimes.vn) |
ホアイ 叙事詩は、いくつのも時代を超えて、口伝えに受け継がれてきました。一つの物語が数日間、毎晩、連続して、語られます。語り部は、その内容によって、語り、歌われます。演出家でもある彼らは、役者や歌い手であり、プロデューサーでもあります。
ソン テイグエン地方の叙事詩は、その語り部の声を通じて、魅力的なものとなり、聞き手の心に深く浸透してきました。
ホアイ テイグエン地方では、数百にものぼる叙事詩が発見されてきましたが、語り部が少なくなっています。ベトナム政府は、これらの叙事詩を保存して、各国に紹介する方針をとっています。
ソン この10年間、ベトナムは叙事詩の保存活動に巨額を投じてきましたた。叙事詩は、現地の祭りで語り、歌われるだけでなく、ベトナム各地の学校や各種フェスティバルでも紹介されています。
ホアイ テイグエン地方のドラとシンバル演奏がユネスコの世界無形遺産として認定されていますが、近い将来、この叙事詩も無形遺産に登録されることが期待されていますね。
ソン そうですね。では、最後一曲お送りして、おしまいにしましょう。「~」です。
(曲)「~」をお送りしました。今日のハノイ便はテイグエン地方の叙事詩についてお伝えしました。それでは今日はこの辺で。