「ハットサムと現代」をテーマにしたハットサムコンサート

山崎   こんにちは、山崎千佳子です。今日もアンさんとハノイ便りをお伝えします。アンさん、よろしくお願いします。

アン   お願いします。山崎さん、ハットサムは知っていますか?

山崎  ハットサム?何でしょう?

アン  ベトナム北部の伝統的な民謡なんです。先月下旬にハノイのオペラハウスで、そのハットサムの公演が行われました。

山崎 オペラハウスでですか?豪華ですね。

「ハットサムと現代」をテーマにしたハットサムコンサート - ảnh 1

アン そうですね。この公演は「ハットサムと現代」をテーマに行われました。多くの人たちがハットサムを堪能したようですよ。今日のハノイ便りは、そのハットサムと保存活動にもなるハットサムコンサートについてお伝えします。

山崎  ハットサムはベトナム北部の有名な伝統民謡ということですが、どんなことから生まれたものなんでしょう?

アン  元々は、目の不自由な人がこの民謡を街中で歌い、生計を立てていました。市場や街頭などで、いわゆるストリートパフォーマンスをしてお金をもらうことで暮らしていたんです。

山崎  ハットサムの内容、歌詞はどんなものですか?

アン  人生の不運や悲しみ、苦しみを歌ったり、また英雄を讃えたりする内容です。悪を非難する歌詞などもありますね。北部のニンビン省はユネスコ、国連教育科学文化機関に対して、緊急に保護する必要のある無形文化遺産として認定するよう、申請書を作成しています。

山崎  保存活動を行わないとなくなってしまう可能性があるんですね?それで、初めにお伝えしたオペラハウスでの公演会が行われたんですね。「ハットサムと現代」というテーマだったそうですが、具体的にはどんなコンサートだったんでしょう?

アン 三部構成で行われて、ハットサムが19曲演奏されました。昔のハットサム、現代のハットサム、そして、現代音楽でアレンジしたハットサムが披露されました。

山崎 多くの人がつめかけたようですね。

アン そうなんです。このコンサートに訪れた年配の観客のコメントです。

(テープ)

「ハットサムは、私の幼い頃に結びつくんです。これはベトナムの伝統文化の一つです。このコンサートに来たのは、昔を思い出すためです。」

アン  また、若い世代の観客はこのように話していました。

(テープ)

「ハットサムを鑑賞して、心が動かされました。一番気に入った歌は“お茶やの娘”と“己を鍛える”です」

アン  ベトナムの伝統音楽に対する一般の人々の関心が薄くなっている中で、このハットサムの公演は、多くの人の注目を集めました。

山崎  いい傾向ですね。

アン  そうですね。このコンサートの主催者メンバーであるマイ・トゥエット・ホア (Mai Tuyet Hoa) さんは「ハットサムの歌詞は現代にも通じる内容のため、人々の共感を得られる」と話します。

(テープ)

「ハットサムの歌詞と音楽は、人々の心に染み込んでいると思います。北部の民謡クアンホーやベトナムの伝統芸能カーチューは、その内容を少し考えたり、漢字を理解する必要があります。その一方で、ハットサムの歌詞は分かりやすいんです。人の気持ちを率直に歌います。何が好きか、何が嫌いか。ストレートに表現するから、とてもわかりやすいんです。」

アン 今日のハノイ便りは、ハットサムとその保存活動の一環として行われたハットサムコンサートについてお伝えしています。ここで、一曲お送りしましょう。「~」です。

(曲)

「Dua dai khong gai 」( Ha Thi Cau) をお送りしました。

山崎  最近では、現代音楽のアーティストがハットサムに興味を持っているということです。みなさん、ビートボックスはご存じでしょうか?ヒップホップ音楽でよく使われる声、唇、舌などを使ってドラムなどの楽器音を作りだすことなんですが、そのビートボックスとハットサムをアレンジしているミン・キエン ( Minh Kien) さんの話です。

(テープ)

「ハットサムのリズムはシンプルですが、そのリズムから多くの興味深いものが発見できます。昔のハノイの町のたたずまいなどが感じられます。そのハットサムとビートボックスを融合させることによって、ハットサムが現代的なものになります。」

「ハットサムと現代」をテーマにしたハットサムコンサート - ảnh 2

山崎  今では、日常の中でのハットサムに関心を持つ人は少ないということで、ハットサムの公演会はあまりないそうです。先月下旬にオペラハウスで行われた「ハットサムと現代」をテーマにしたコンサートの準備も主催者側は大変だったようです。主催者メンバーのグエン・クアン・ロン( Nguyen Quang Long) さんの話です。

(テープ)

「2011年1月に、このようなハットサムの公演を行いました。それから1年に1回、旧正月のテト前に開催する予定だったんですが、いろいろな問題があってできませんでした。今年、やっと開催できたんです。資金の問題や人を呼び込めるかといったことから、こういうコンサートを行うのが大変なのが現状です。」

山崎  そういう厳しい状況の中で開催されたコンサートは、とても価値がありますね。

アン そうですね。これからもできるだけ続いていってほしいです。

山崎  では、おしまいに一曲お聴き頂きましょう。「~」です。

(曲)

「Nguoc doi 」( Ha Thi Cau) をお送りしました。

今日のハノイ便りは、ベトナム北部の伝統民謡ハットサムとその保存活動として行われたコンサートについてお伝えしました。それでは、今日はこのへんで。 

Chao cac ban。

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