山崎 こんにちは、山崎千佳子です。
ソン こんにちは、ソンです。今日の話題は古本です。山崎さん、日本では古本は人気がありますか?
山崎 そうですね。誰もが好む、という訳ではないかもしれませんが、古本市はいろいろなところで行われています。特に、東京の神田古本まつりは有名です。私も小学生の時に父に連れられて行ったことがあります。今年で56回目だそうです。
ソン 歴史がありますね。ハノイでも、先月の末に、古本まつりが開かれたんです。昨年初めて開催されて、今回は3回めでした。
山崎 ベトナムでは古本は人気ですか?
ソン そうですね。特に、このイベントは注目されていて、古本を扱う本屋さんが多数参加しました。多くの古本愛好家も訪れました。
山崎 ベトナムでもたくさんの本が出版されていますよね?
ソン はい。現代の書籍や出版物もベトナム人読者の需要に応えられるものですが、新しい本にはない独特の魅力が古本のファンを引きつけています。
山崎 そのハノイで開かれた古本まつりには、どんな人たちが訪れたんでしょう?
ソン 学生から研究者、古本の愛好家まで様々ですが、みんな本好きの人たちですね。
山崎 ここで、古本まつりに参加した古本書店の経営者 ( Le Van Hop )の話です。
(テープ)
「最近出版された本のイベントと比べて、古本まつりに来る人の方が多いですね。若者もたくさんいますし、結構買っていきます。昔、出版された本に関心があるようです。外国語の書籍で言えば、古い時代に翻訳された本の方が、現代になって訳されたものより、質が高いと思います。」
山崎 古本まつりでは、主に1940年代から1990年代の間に出版されたものが販売されました。紙は黒く、文字は読みにくくなっていて、表紙がないものも少なくなかったそうです。にもかかわらず、多くの人が訪れたというのは、それだけ古本の魅力があるということですよね。
ソン そうですね。特に、国が経済を統制していた時代に出版された文学、歴史、哲学の本はいつも人気で売れ行きがいいようです。
山崎 それはどうしてですか?
ソン 再版、再び出版されないからです。
山崎 なるほど。それしかないからですね。古本まつりに出店していた別の古本店オーナー ( Ha Minh Chien) の話です。
(テープ)
「新しく出版された翻訳本には、原作の一部がカットされたものがあるんです。でも、古本にはそんなことはありません。そのため、古本が人気なんです。また、昔、出版された外国文学の本には、翻訳の誤りや印刷ミスは、ほとんどありませんでした。」
山崎 今日のハノイ便りは、ベトナムでの古本人気についてお伝えしています。ここで、一曲お送りしましょう。「~」です。
(曲)
「~」をお送りしました。
山崎 古本が好きな人たちに言わせると、その本の内容はもちろん、編集や印刷など出版に携わった人たちの思いも感じられるということです。ベトナム美術大学の学生 ( Nguyen Dat Tung) のコメントです。
(テープ)
「美術を学んでいるので、画家に関する本やロシアやフランス文学の古本をよく買っています。これらの本は、再版されていません。インターネットで得られる情報は間違ったものもあるので、本を読む方が好きです。」
山崎 ハノイでは、昔から古本販売がよく行われていたということですが、古本まつりのようなものは、2014年までなかったそうです。古本愛好者にとって、またとないイベントになっているようですね。
ソン そうですね。古本まつりに訪れた建築関係の仕事をしている人 ( Nguyen Van Anh) の話です。
(テープ)
「私は、建築や歴史の他、文化、社会に関する古本を探しています。本好きの人は、希少価値のある古本を大切にしていると思います。本の内容だけでなく、記録という点での価値を考えているはずです。研究者は、再版されていない昔の本を得難いものとして保存しています。」
ソン こういう古本まつりのようなイベントで、ベトナムの読書文化が広まるといいと思います。
山崎 そうですね。本が好きな人たちにとっては、古本まつりは宝箱のようなものかもしれませんね。では、おしまいに一曲お送りしましょう。「~」です。
(曲)
「~」をお送りしました。
今日のハノイ便りは、ベトナムでの古本人気についてお伝えしました。それでは、今日はこのへんで。