ベトナムの小正月


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ベトナムの身近な話題をお伝えするハノイ便りの時間です

山崎  こんにちは、山崎千佳子です。 

ソン  こんにちは、ソンです。

山崎 先週は急なお休みを頂き、失礼しました。今日のハノイ便りは、ベトナムの小正月についてです。

ソン はい。ベトナムの小正月は旧暦の1月15日で、今年は今月11日でした。小正月は上元節とも呼ばれています。

山崎 上に元気の元、節句の節という漢字ですね。ベトナムでもこの漢字ですか?

ソン そうです。ベトナム語での読み方は違いますけど、漢字を使うとそうです。

山崎 日本では1月15日になりますが、もう小正月と言ってもピンと来ない人が多いかもしれません。昔ながらの行事を行う地域もありますが、知らないという人もいると思います。

ソン ベトナムではまだまだ大事な日です。「一年中お参りしたとしても、旧暦の1月15日の参拝とは比べ物にならない」と言われています。

山崎 そのフレーズで思い出しました。前にもご紹介したことがありましたね。

ソン はい。旧暦の1月15日は新しい年になって最初の満月の日なので、特別な意味があるんです。専門家(グエン・ゴック・マイ博士)の話です。

(テープ)

「ベトナムは農業に携わる人が多いので、昔から太陰暦を大切にしています。太陰暦の初めての満月の日はとても重要だとされているんです。そして小正月は、旧正月のテトから始まった休みが終わって、農作業を始める時期なんです。」

山崎 ソンさん、農家のかたはテトから小正月が終わるまでずっと休みなんですか?

ソン そうです。自然が相手の農作業には休みがありませんから、農家の人にとっては、1年に1度の長い休みがこの時期なんです。

山崎 貴重ですね。そして、テト明けにお寺に初もうでに来ている人をたくさん見かけました。

ソン はい。新春には、ベトナム人は寺に行って、線香をあげ、一年の幸運と平安を祈ります。小正月には何としても参拝したいという人も多いです。

山崎 先ほどもご紹介しましたね。小正月のお参りは大変なご利益があると言われているんですね。

ソン そうです。願いが仏様によく聞こえる、と信じられています。

山崎 ソンさんは小正月のお参りは行きました?

ソン はい。家族と家の近くにある寺に行って、家族の健康と平穏な生活を祈りました。

山崎 みなさん大体そういった願いかもしれませんね。

ソン そう思います。ハノイ市民(グエン・ティ・スアンさん)に話を聞いています。

(テープ)

「私は、旧暦の1月15日はもちろん、毎月1日と15日にお寺に参拝しています。仏様に国の平和や家族の団結、それから家族全員の健康と仕事や勉強でのいい成績をお願いするんです。」

ソン 小正月を迎える旧暦の1月15日前後に、寺では人々の幸せを祈る儀式が行われます。

山崎 具体的にどんなことをするんですか?

ソン はい。お坊さんがお経をあげたり、幸運を願う人々の名前を読み上げるものです。

山崎 ご祈祷ですね。お金を払ってお願いするものですよね?

ソン そうです。有名な寺の小正月の儀式には大勢の人が参加します。例えば、ハノイ市内にあるフックカインという寺にはおよそ1万人が詰めかけました。

山崎 1万人?今年の小正月ですか?

ソン はい。大体毎年それぐらいの人出で賑わいます。

山崎 そんな広いお寺なんですか?

ソン いえ、狭いんです。境内には全員を収容できないので、数千人が寒空の下で、大体5~6時間くらい周辺の道路に座って祈祷の儀式に参加します。

山崎 ひえー、何でそんなにそのお寺が人気なんですか?

ソン ご利益があると言われているんです。私も親戚からフックカイン詣でを勧められたことがあります。

山崎 なるほど。ベトナムではお寺参りにどんなものを持って行くんですか?

ソン 通常は、線香と花、ちょっとした果物です。でも最近では、それ以外に大量の果物やお菓子を持参する人が増えています。お供え物を山のように乗せた大きな盆を持っている人を寺で見かけます。

山崎 多ければ多いほどいいんですか?

ソン いえ、そんなことはないんですが、多い方がいいと思っている人が多くなっているんですね。でもそれは、仏への賄賂だと批判の対象になっています。

山崎 仏様には賄賂は通じなさそうですけどね。僧侶の方が話してくださっています。こちらもハノイ市内にある有名なお寺、クアンス寺の住職(ティック・タイン・ニエウ)の話です。

(テープ)

 「お参りする時には、線香や花、ろうそくを少しだけ持ってきてもらえれば大丈夫です。たくさん買うことはありません。仏様に平穏を祈るために重要なのは、心です。お供え物の量は関係ありません。平穏は心から始まるんです。」

山崎 住職、さすがのコメントですね。

ソン そうですね。そして、小正月には、寺に参拝するだけでなく、家で料理を作って祭壇に供えます。先祖を敬い、感謝の気持ちを表すためです。

山崎 どんな料理ですか?

ソン 家庭によって様々ですが、旧正月テトのおせち料理と同じようなものを供えるのが一般的です。ベトナム風のちまき、バインチュンやおこわ、果物、茹でた鶏、ベトナム風のハム、漬物、ご飯、お酒などです。

山崎 ベトナムでは、ご先祖様を敬うという習慣が、とても大事にされていますね。ハノイ市民(チャン・ヴァン・ドゥック)の話です。

(テープ)

「小正月に先祖に感謝する風習は親から受け継ぎました。ベトナム人にとって最も重要な習わしの一つで、ベトナムならではの文化だと思います。これからの世代にもこの慣習を守っていって欲しいです。」

山崎 ここのところ、どんどん現代的になってきたベトナム人の生活ですけど、大事なところを守っていますね。

ソン そうですね。確かに、昔とは生活様式が変わってきました。以前は三世代、四世代が一緒に住んでいましたが、現在は核家族が増えて、家族の人数も減っています。なので、小正月に祭壇に供える料理も少なくなってきていますが、必ずその日に供え物をするという気持ちは変わらないです。

山崎 お供え物はそのままですか?

ソン いえ、供えた後に、家族全員集まってその料理を楽しみます。

山崎 またそれが家族の団欒になるんですね。もう1人、ハノイに住む男性(グエン・アイン・タイさん)の話です。

(テープ)

「うちでは料理を作って祭壇にお供えした後、みんなで集まって食べながら、家族でのひとときを楽しみます。うちの家族だけでなく、親の兄弟の家族も集まって、テトの最後の一家団らんになります。」

山崎 小正月はテトの最後の大事な行事だったんですね。では、おしまいに一曲お送りしましょう。「~」です。

(曲)

「~」をお送りしました。今日のハノイ便りは、旧暦1月15日のベトナムの小正月についてお伝えしました。それでは、今日はこのへんで。

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